やたら良いぞ。
“THE ORIGINAL 7VEN
The band formerly Known as The Time “
CONDENSATE
Chronology Entertainment/Flyte Tyme/
Saguaro Road Records 25579-D
いやぁ、もう、参ったなあ、困っちゃうなぁというぐらいに良い。
久々だ、この不条理な「困ったぁ!」という種類の良さは(笑)。
前作にあたる二十一年前(!)の “Pandemonium” もかなり「困った」一枚だったっけ。
前作から二十一年。
ちゃんと歳を重ねてはいて、全体に曲のキーは落ちている。モリース・デイの一番良い声域が下がったからだろう。
全体にテンポも遅めかな?これはドラマーのジェリービーン・ジョンスンに合わせたのかな?
でも全くテンションは落ちていない。良い曲だらけ。何百と曲を書きプロデュースしているのに、まだこんなに良い曲を書けるのかジャム&ルーイス!という(以下J&Lと略記)。
前作と同じ七人が全員居る。バンド名(改名)に偽りは無い。
Morris Day lead & background vocals
Jerome Benton percussion, mirror, background vocals
Jimmy Jam keyboards & background vocals
Terry Lewis bass, co-lead & background vocals
Jellybean Johnson drums & percussion
Jesse Johnson guitar & background vocals
Monte Moir keyboards & background vocals
因みに七人中、ジェローム・ベントンを除く六名がデビュー時のメンバー。そのうちのモリース・デイ、ジェッスィ(ジェシー)・ジョンスン以外の四人はその前から Flyte Tyme を名乗って一緒にやっていた。その頃のシンガーがアリグザンダ・オーネィール(アレキサンダー・オニール、Alexander O’Neal)だったそうだ。
ジェロームはサード『アイスクリーム・キャッスル』で加入、しかしその時にJ&Lは入れ違いで脱退していた。この七人がメンバーとして一同に会したのは四枚目/再結成盤/前作にあたる『パンデモニアム』が最初だ。
基本的にはその前作と同じ音楽性・体制で制作されていると言って良いと思う。特筆すべきは始めてプリンスが関わっていないという点。その辺りの政治的な力関係・バンド名義の権利所有も有っての事だろう、改名しての発売となった。
全曲J&Lが作曲、そのうち半数に他のメンバーが共作者として加わっている。
プロデューサー・クレディットも同様で、全曲J&L、うち四曲はジェッスィ・ジョンスンとJ&L、そして全曲共同プロデューサーとしてジ・オリジナル・セヴンが。
ジェリービーン・ジョンスンやモンテ・モアもまだフライト・タイム・プロダクションズに居た八十年代後半のJ&Lサウンドを基本に、良い所でジェッスィに弾けて貰い、その上にモリースとジェロームがコミカルに乗っかる。
つまり、ファンが最も望む形・力関係で七人が集まったという事なのだろう。別々の活動を続けていた彼等の中にはかなりの妥協が有ったと思う。おそらくソロ活動の資金集め、或いは金銭的に困っているメンバーの救済として「ファンが望んでいるベタな奴全開にしてひと儲けしよう」と開き直ったのだと思う。
その商魂に興醒めする方も居るかも知れないが、彼等にとっては仕事である。このクォリティでの「妥協」「極めて優秀な仕事」ならば大歓迎だ。喜んで騙されて踊らされよう。
どの曲も始まるなり笑っちゃう、そんなアルバムは久し振りだ。
本当に二十一年前の前作以来かも知れない。
嬉しくて仕方が無い。
「ミント・コンディション辺りにはまだ負けてないぜ!」という感じなのかな?
九曲目と十曲目の間でモリースが “side 2” って言ってる。AB面が有るアルバム、「LP」なんだ、これは!イェ〜ッ!
にしては六十七分と長めだけどね。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’11. (音楽紹介業)
コメント
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人見さん こんばんは! Like