脚本家の市川森一(しんいち)が亡くなった。
十二月十日。享年七十。肺癌。
こちらは NHK のニューズ。
NHK なのに「黄金の日日」「山河燃ゆ」よりも「ウルトラマン」シリーズを経歴として先に出しているのが興味深い。
「ウルトラセブン」である。
「傷だらけの天使」である。
「太陽にほえろ!」である。
「シルバー仮面」である。
「黄色い涙」である。
という事は、僕にとっては何と言っても「ウルトラセブン」のスタッフとしての市川森一。
「V3から来た男」「月世界の戦慄」で、キリヤマ隊長の親友クラタというキャラクターを生んだのは市川森一だという。クラタの登場によりシリーズはグッと大人っぽさ、男臭さが増した。
他の「ひとりぼっちの地球人」「盗まれたウルトラ・アイ」「恐怖の超猿人(共同脚本)」「ダン対セブンの決闘(共同脚本)」といった手掛けた作品を考えれば、「孤独」をテーマにした作品が多い事に気付く。「傷だらけの天使」も「黄色い涙」の主人公達も思えば孤立した存在だった。時代だったのかも知れない。少数派(しかも世間からは見下される側の)が美しかった時代だったと言えるかも知れない。それに乗ったとも言えるだろうし、その風潮を創った、その傾向を助長した側とも言えるだろう。
「ウルトラ」の日々を回顧した NHKドラマ「私が愛したウルトラセブン (1993)」も面白かった。
アイドル/マドンナとしてのアンヌを主役にした、虚実をないまぜにした優れたドラマで、個人的には演出やテンポ感が若干緩い感じがしたものの、それは飽くまで演出レヴェルの話。脚本の良さは楽しんだ。
田村英里子のアンヌ、上原正三の仲村トオル、金城哲夫の佐野史郎もイカしていたが、市川本人役を香川照之が演じていたのがとても正解だったと思う(役名は「『石』川『新』一」)。
何と言っても、また一人「ウルトラ」を故山とする人物が物故したのが悲しい。
宮内國郎、実相寺昭雄、峰岸 徹(彼はウルトラOBではないけれど実相寺OBという事で)、高野宏一から思うと久々の悲報かも知れない。
特に宮内國郎、実相寺昭雄、JB が相次いで亡くなった五年前、あれは辛い冬だった。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’11. (音楽紹介業)
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