作家のジェイムズ(ジェームズ、ジェームス)・クラムリー (James Crumley) が亡くなった。
九月十六日。腎臓と肺の疾患による合併症。享年六十八。
こちらは毎日新聞のおくやみ欄。
いわゆるハードボイルド・ミステリーの作家であるが、
その文学性の高さから「アメリカの現代文学」「純文学」としての評価も高い。
寡作であったというのも、その神秘性や高貴さを演出するのに、(別にそれを狙っていたのではないとは思うが、)結果的に役立ったと思う。
とは言え、「ミステリーの中では」という評価にとどまっているのが現状だ(※)。実際の所、日本ではハヤカワ・ミステリ文庫からその著作の殆んどは発売、しかも訳者は小鷹信光や小泉喜美子等という「ハードボイルド王道」の顔触れ。
そして結局、僕もハードボイルド好きだから知り、読んでいる訳で。
勿論!知った切っ掛けは内藤 陳の「読まずに死ねるか!」。
謎解き以外の「語り口」「視点」「批評眼」により、その文学性が高く評価されるという意味で、僕はアーネスト・ヘミングウェイ、レイモンド・チャンドラー、我が国の矢作俊彦といった面々と同列で彼に触れている。
良い意味で常人の枠をはみ出た、頑固で繊細で酔いどれの、愛すべきテキサス親父なのだろうと想像している。
主な著作(未だ僕は読破していないのだけれど)
1969
ONE TO COUNT CADENCE
我ひとり永遠に行進す
1975
THE WRONG CASE
酔いどれの誇り
1978
THE LAST GOOD KISS
さらば甘き口づけ
1983
DANCING BEAR
ダンシング・ベア
1987
PEGEON SHOOT
(未訳)
1993
THE MIXICAN TREE DUCK
友よ、戦いの果てに
1996
BORDERSNAKES
明日なき二人
2001
THE FINAL COUNTRY
ファイナル・カントリー
2005
THE RIGHT MADNESS
正当なる狂気
他に短編、エッセイ集などが出ている。
1988
WHORES
娼婦たち
1991
MUDDY FORK AND OTHER THINGS
(未訳)
2000
THE PUTT AT THE END OF THE WORLD
(未訳)
南部人なので、読む時のBGMはZZトップ、レーナード・スキナード、ウィンター・ファミリー、ヴォーン兄弟あたりだな、僕の場合は。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)
(※)
サンダーが「ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの中では」という評価に甘んじているのと同様に。
シーク(シック)が「ディスコ・バンドの中では」という評価しかされていないのと同様に。
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