この十一月より、延期されていた結成四十周年のトゥアーを開始する予定のイエス。
本ブログでその第一報を掲載した際の僕の懸念は、残念乍ら当たってしまっていた。
代役を立てるというアイディアをジョン・アンダスン(アンダーソン)は知らなかったというのだ。
こちらはヤフー!ミュージックの記事。
これに立脚して以下を書く(他のメンバーの主張はまだ知らないので)。
そりゃあ、怒るだろう。当然。
大体、療養に入ってから彼に連絡を入れたメンバーはアラン・ワイト(ホワイト)だけなのだという。やっぱり、想像通り、イエスの「良い奴」=メンバーの仲を取り持つ役は彼だったのだな(笑)。表情も一番(唯一!)温和だし。
人事担当といわれるクリス・スクワイア(ずっと在籍している唯一人のメンバーでもある)以外では、ワイトは唯一の「脱退をした事の無いメンバー」だ。
メンバー交代が激しいといわれるイエスだが、実はドラマーは歴代で僅か二名。’72年の『こわれもの』後に初代のビル・ブルフォード(ブラッフォード)からワイトに代わって以降、不動だ。
’91〜2年の「結局」、否『結晶』時のみブルフォードとのダブル・ドラムズとなったが、つまり脱退はしていない。解散していた数年間もスクワイアと行動を共にしていた。スクワイア&ワイトのリズム隊は三十五年以上にわたる。
テクニックも勿論だが、アラン・ワイトという人はきっと本当に人柄が良いのだろう。インタヴュー等を読んでも、その気配り上手ぶりや謙虚さは伝わって来る。
又、思うに、今回の件に立腹しているのはきっとアンダスンだけでは無いだろう。トレヴァー・ホーンとロジャー・ホジスン(ホジソン)は少なからず不満を持っていると想像する(※)。きっとどちらにも代役の打診はしていないのだろうし。
近日中に他のメンバー(おそらく首謀者は今迄通りクリス・スクワイア人事部長)の言い分も聞こえてくる筈だ。食い違っているんだろうな・・・。
アンダスン復調後、彼等の中が修復されるかどうか、心配だ。
三度目の脱退という事態となり、今度は「アンダスン、ブルフォード、ウェイクマン、ラビン」で、いやパトリック・モラッツとピーター・バンクスで、・・・否、それはどちらも無いな(笑)。
最近読んだブルフォードのインタヴューによると、『こわれもの』『危機(原題の直訳ならば「先端への接近」)』といったアルバム・タイトルが続いたのは、本当にバンドは緊張感でいつ解散してもおかしくなかったからだという。ううむ…。結局、その後、彼が最初に脱退した訳だが。
「波乱の四十一年目」とならない事を祈る。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)
(※)
【トレヴァー・ホーン】
ジェフリー・ダウンズとの二人組、ザ・バグルズのメンバー。
かの「Video Killed the Radio Star (ラジオ・スターの悲劇)」( ’79) を放った翌年、アンダスンとリック・ウェイクマンが脱退したイエス(同じ事務所の先輩)に、二人の穴を埋める形で電撃加入、アルバム『ドラマ』とそのトゥアーで、ヴォーカリストであるホーンはアンダスンの役をこなした。物真似に近いその違和感の無さは賛否両論を呼んだが、案の定「否」が多く、そのせいもあってかイエスはこの時に一旦解散している。
二年後、スティーヴ・ハウとダウンズはエイジアとして再出発。一方で、その頃にシネマという名で集まっていたスクワイア、ワイト、トレヴァー・ラビンに、アンダスンそしてトニー・ケイが合流、’83年に彼等はイエスとなり、翌年にかけて「Owner of a Lonely Heart」を大ヒットさせる。その際に彼等がプロデューサーとして起用したのはホーンだった。
ザ・バグルズの二人はイエス人脈の中に居続けた。ファンと違い、当事者間では二人は重宝がられた。
その後のバグルズ:
ダウンズはメンバー交代が続く中、エイジアの暖簾を守り続け、近年は結成時のメンバーの帰還を歓迎している。
ホーンはイエスの次作『ビッグ・ジェネレイター』( ’87) にも関わる中、ジ・アート・オヴ・ノイズ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドといった、ある意味では八十年代のハイテク・プログレを創造していく。近年はタトゥーも手掛けている。
【ロジャー・ホジスン】
スーパートランプの高音ヴォーカル&キーボード、ギター他担当。’83年よりソロ。
元々、アンダスン的なクリアな声質を持つ彼は、アンダスン二度目の脱退となった『ビッグ・ジェネレイター』( ’87) 後に、活動停止状態となっていたイエス(当時のメンバーはスクワイア、ワイト、ラヴィン、ケイ)と共同作業をしている。きっとヴォーカリストとして試されていたのだろう。
その痕跡は、アンダスンがその時期に組んでいた「元イエス」=アンダスン、ブルフォード、ウェイクマン、ハウとのまさかの合流となった、’91年の「結局」、否『結晶』(くどくって、わざとらしい!)に共作者クレジットとして残されている。きっと、分裂期のデモ音源ではホジスンが歌っている曲なのだろう。そちらも聴きたい。
先月、スーパートランプのSHM-CDが出た。「相当良い」という知り合い(Sさん!)からの連絡有り!
元々、音響的にも「良い音」ですものね、スーパートランプって。ホジスンのピアノなんて更に映えそうですね。
コメント