近いうちにこの報せが届いてしまう事を、ここ数年、覚悟はしていたけれど。
遂に。
フォー・トップスの素晴らしきリード・シンガー、リーヴァイ・スタッブズ (Revi Stubbs、リーバイ・スタッブス) が亡くなった。
十月十七日没。享年七十二。癌、心臓疾患を抱えていたという。
こちらは吉岡正晴氏のブログ、こちらはバウンス誌のウェブサイトより。
モータウン時代に並び称されたザ・テンプテイションズ(六十年代のいわゆるクラシック・ラインナップの五人)と同じく、フォー・トップスも生きているのはとうとう一人だけになってしまった。
フォー・トップスはメンバー・チェインジをしなかった。最初の物故者ローレンス・ペイトンが亡くなった ’97年以降、ザ・トップスと改名して、三人+サポート・メンバーとして活動を続けていた。
リーヴァイは2000年にステージ活動から引退(脱退はしていない)、その後、彼のパート(リード・ヴォーカル)を引き継いだのは、何たる奇遇、九十年代はテンプスに在籍していたセオ(テオ)・ピープルズだった。
「(フォー・)トップスからリーヴァイが引退して、ライヴではリーヴァイの役をセオがやっている。それがとっても良い!」という話を、周辺で一番のソウル・フリークである友人(先輩)から聞いたのが多分去年か一昨年。おそらくその時に「リーヴァイがそろそろらしい」という噂も聞いた。
「リーヴァイが車椅子で舞台に上がって歌ってるライヴ映像がDVDが出てる」という話もその時に聞いた。まだ手に入れてはいないが、写真やU-チューブでは観た。
だから、冒頭に記した通り、覚悟はしていた。
にしても淋しい。
僕は黒人音楽が大好きだが、実はいわゆる「歌モノ」はどちらかと言うと後回しにしてきている。音作り、プロデューサー、プレイヤーに偏っており、ファンク寄りをより好んでいる。本来の王道であろう本格ソウル・ヴォーカルに関しては、僕は良い聴き手では無い。
よって、僕はヴォーカル・グループに明るくない。男性で言えば、「好きだ」と言える程聴いている・知っている・持っているのは、それこそテンプスとフォー・トップスぐらいだ。それでもアルバムを全て持っているという訳でも無い。そんな程度。
「六十年代モータウン」という括りは、当事者達にとって、商売上はとても有効な「箔」なのだろうが、重荷でもあり目の上のたん瘤でもあるだろう。以降の活動があの時期を凌ぐ人気や評価を受ける事は多くない。つまり「六十年代モータウン」が、それ程のクォリティを持ち、ニーズも持っていた作品と時期であったという事なのだけれど。
フォー・トップスはモータウンからABC/ダンヒルに移籍した時代(大まかに言って七十年代)の方が、コアなソウル・ファンに好まれる傾向が有る。良い意味でポップ過ぎず、ディープで文字通り「ソウルフル」な曲が揃い、歌唱力は折紙付き。売り上げ・チャート上の成績はモータウン期には及ばないものの、いわゆる「ニュー・ソウル」の時代、彼等はその人気を見事にキープしたと言って良いと思う。
「アルバムの時代」が訪れたソウル界で、彼等のアルバムは売れた。
『メイン・ストリート・ピープル』のアルバム・カヴァーなんてイカしているのひと言。
結成された五十年代から不動だった彼等。変わらぬ結束で九十年代迄活動をしていた彼等。既に一線から退いていたとは言え、そのフロント・マンだったリーヴァイ・スタッブズが逝ったというのはかなり辛い。
明日の「スターライト・クルージン」は追悼ノーマン・ウィットフィールド(ホイットフィールド)の第二回を予定している、つまりほぼ七十年代のテンプス特集になると考えていたのだけれど・・・。
どうしよう。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)
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