十一月三十日。肺疾患。享年七十三。
こちらは読売新聞より。
円谷プロダクション制作による数々のSFTVドラマの特技監督、
つまり一番ワクワクして観ていたヒーロー、怪獣、宇宙人の活躍シーンの監督だった事で知られる高野宏一が亡くなった。
「ウルトラセブン」( ’67-8) に関わったキャスト、スタッフには敏感な人見なので、本ブログで触れる次第。
ちなみに「特技」は「特殊技術」の略。
「知られる」と書いたが、キャストではなく、裏方。しかも監督でも脚本でもないスタッフなので、きっと「日本の特撮ファン」以外には「知られた名前」では無いのだろう。
しかし、ウルトラマン、ウルトラセブン等のオープニング・クレジットでよく目にした名前だ。
各話ごとの簡潔なクレジット(例えばDVDの裏)が記される場合には、
脚本
監督
特撮技術(=特技監督)
が明記されている。そんな重要な役割を担当していた人物である。
本編、即ち人間ドラマ部分を主に担当しているが監督。
脚本家と監督からの指示を踏まえて、子供が目当てとしている空中・宇宙を飛ぶホーク一号や宇宙人の暗躍、怪獣による街の破壊、変身後の格闘シーン等撮影を指揮するが特技監督。
毎週新しい話を作るのだから、同時進行でないと間に合わない。それを繋ぎ合わせて辻褄を合わせなければいけないのだから、監督と特技監督の信頼関係はとても大切だ。
大体、一年間使用される、いわゆる「撮りおき」、黄門様の印籠にあたる、「変身シーン」からして特撮ではないか!
シュワッチ!
デュワッ!
悲しみの勢いで「セブン」のスタッフ・クレジットを調べた(笑)。
全四十九話中(※)、およそ五分の三にあたる二十七話の特技監督が高野宏一だった。
2008年12月8日現在、レギュラーと準レギュラーで故人となっているのは、
中山昭二 (キリヤマ隊長)
阿知波 信介(ソガ隊員)
藤田 進 (ヤマオカ長官)
平田昭彦 (ヤナガワ参謀)
宮川洋一 (マナベ参謀)
上西弘次 (ウルトラセブン)
そして、主要スタッフである三人=脚本、監督、特技監督が全員鬼籍に入ってしまった話(※※)のは以下のもの。
話数 サブタイトル 脚本 監督 特技監督 の順
1 姿なき挑戦者 金城哲夫 円谷 一 高野宏一
2 緑の恐怖 金城哲夫 野長瀬 三摩地 高野宏一
3 湖のひみつ 金城哲夫 野長瀬 三摩地 高野宏一
8 狙われた街(※※※) 佐々木 守 実相寺昭雄 大木 淳(淳吉)
12 遊星より愛をこめて 佐々木 守 実相寺昭雄 大木 淳(淳吉)
18 空間X脱出 金城哲夫 円谷 一 大木 淳(淳吉)
34 蒸発都市 金城哲夫 円谷 一 高野宏一
安らかに。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)
(※)欠番扱いとなっている第十二話「遊星より愛をこめて」も含めた。
(※※)以下の方々の動静を調べ切れませんでしたので、上記リストには含めておりません。申し訳有りません。
御存知の方は御一報頂ければ幸いです。
菅野昭彦氏(脚本)
鈴木俊継氏(監督)
的場 徹 氏(特殊技術)
若槻文三氏(脚本)
(※※※)メトロン星人の声を担当した中江真司も故人(2007年没)。
僕の世代には、同じく「セブン」のアンノン星人(第十六話「闇に光る目」)、
そして何と言っても、
「仮面ライダー本郷 猛は改造人間である。
彼を改造したショッカーは世界制服を企む悪の秘密結社である。
仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ。」で御馴染み。
今世紀に入っての「トリビアの泉」や任天堂DSのCMでも知られる。
コメント
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人見さん、お邪魔します。
高野さんの訃報は多くの偉大なミュージシャン同様に、とても残念です。
ウルトラシリーズではウルトラQから、2002年のウルトラマンコスモスの監修まで、ずっと係ってこられたお方、つまり長きに渡って子供たちの目を輝かせてくれた偉大な特撮監督です。(ちなみに僕の息子はウルトラマンティガ世代)
ウルトラマンのジラースの回には、俳優としても出演なさっているそうですね。
欠番扱いの第十二話、内容的には全然問題なく、むしろ平和への強い願いを訴える作品です。しかも、元フジ隊員とアンヌ隊員の貴重な競演として、とても大切な作品だと思います。2000年にはアメリカでも放送されたそうだし、ファンとしては欠番を解いてもらたいですね。
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tomiさん
早速の書き込み、有難う御座居ます。
最初の「セブン」DVD化の際に、第一巻のボーナス映像として新たに撮られたのが高野宏一の回想映像でした。重要人物だった事が伺えます。まぁ、当時円谷プロの専務取締役だったので、急いで近場から撮っていった順、という事情も有るのかも知れませんが(笑)。
ゴモラが大阪城を壊したのを撮ったのも彼でした(ウルトラマン「怪獣殿下」前後編)。
セブン十二話、僕は高校生の時(多分 '84年秋)に、近くの大学祭のSF研究会がやっていたヴィディオ喫茶で何度も観ました(裏ルートでお借りしていたのだそうな[笑])。目に焼き付けましたよ、ホント。
アメリカでは、「再放送時には契約当初の全話を放送する」という条項がある事を盾に放送されたみたいですね。先ずそれ以前に欠番になっているのを知らなかったのかも知れませんが。
正しい契約だ!
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さすがです、高校生の頃からチェックされていたとは、まさに筋金入りですね。人見さんの引き出しには一体、どれほどの情報が詰まっているのでしょうか・・・。
人見さんと音楽の話をすると本当に止まらなくなってしまいますが、また機会がありましたら、じっくりセブンや怪獣についても語り合いたいです。
仮面ライダーシリーズもお好きですか?
それからこの間、渋谷の某レコード店の前で聞かせていただいた、ポータブルレコードプレーヤー持参で公園に遊びに行っていた人見少年のお話がすごく印象的なので、ファンとしていずれ文章に残されることを望んでおります。どうかよろしくお願いします。
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tomiさん
仮面ライダーは、明確に憶えている程ではありませんが、熱狂的だったのは「ぶいっすりゃ〜」という名乗りがカッコ良いV3 迄ですね。ブームと重なる、割とフツーの好みですよ(笑)。
X、アマゾン、ストロンガーは何と無く見ていたという程度。四号ライダーはじゃなくてライダーマンなんだぜ!と。
ライダーよりも、風見志郎→新命 明→早川 健→番場壮吉という宮内 洋がその後続けて演じた一連のヒーローですね、魅力を感じたのは。
後年「怪傑ズバット」の脚本家だった長坂秀佳が語った所によると「子供番組で(日活アクションの)渡り鳥シリーズがやれる!」という狙いだったそうで、僕は「そうか宮内 洋は小林 旭だったんだ!」と膝を叩いた次第。
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tomiさんへ再び。
「怪傑ズバット」は御存知無いかも知れませんね。東京ローカルで放送されていた番組です。ギャグとシリアスの境目を自在に行き来した(いや、ハッキリとギャグ[笑])最高のドラマでした。
その主人公の名が早川 健です。
「ズバッと参上、ズバッと解決! 人呼んでさすらいのヒーロー、怪傑ズベァーット!!」という名乗りが最高だったのです。
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♪赤い夕日に燃え上がる~
ギターを片手に悪と戦うヒーローフェチの僕が、怪傑ズバットを外すわけがありません。
「オマエさんの居合の腕前は日本で2番目だ」、「それじゃあ、誰が一番なんだ」、「チッチッチ・・・このオレさ」
早川健自体が、何をやっても日本一の腕前なのに、5分過ぎれば爆発するズバットにわざわざ変身する意味があったのでしょうか。
「2月2日に親友の飛鳥五郎を殺したのはオマエか?」、「知らん、その頃オレはシチリア島でスパゲティを食っていた」などと、笑える要素が満載のヒーローもの、でも当時は真剣に見ていたなぁ。
ただ早川さんは、親友の形見であるはずの白いギターの扱いがひどくて、ズバットスーツはギターに収納するし、ギターで敵をぶん殴る。それに皮の手袋をつけたままギターを弾く、まさにハードコア・パンクのギタリストです。
早川健役で歯止めが利かなくなったのか、番場壮吉にいたっては、宮内洋さんはやりたい放題ですね。でも宮内さんにも正義のヒーローとして、独自の美学にこだわる方。美学を持っている人は、常にカッコいい。
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tomiさん
関東以外でも放映されていたのですね。失礼しました。
変身前と変身後、三十分で二度も見所が有るという素晴らしさ。
アキラと言うよりもエースの錠(より僕の好み)。
ギャグとシリアスの紙一重。AC/DCかキング・クリムズンか、という。
オープニング・タイトル撮影時、アドリブで、カメラに向かって投げキッスをしたら、ファインダーを除いていたカメラマンが倒れた、という逸話も大笑い。
もう、ヒーローを演じるのが本っ気で好きな人なのだそうですね。誇りを持ってやってる。割と他の俳優が「そのイメッジで何時迄もみられてりまう」と足枷に感じがちの中、宮内 洋は特殊です。
宇宙刑事アランなんて、もう殆んど泣いたね(笑)。
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