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345 日記再録 2009.1.20. | GOOD TIMES | グッドタイムズ

345 日記再録 2009.1.20.

2009年1月20日の日記。
(翌日、湘南ビーチFMウェブサイトのトップ頁に掲載)
 論、僕も「にわかオバーマ・ファン」の一人になっている。今夜の就任式も観た。

 党候補として名が出始めた一昨年辺りから、「辛い時はああいう抽象的な理想主義者を求めちゃうんだよなぁ」と彼をクサす意見はあった。対して「理想ぐらいは美しく持ち続けたいじゃないか」という姿勢もまた出て当然。

 も僕にとっては、政党がどっちだ、政策がどうだ、右だ左だ、宗教がどうだ等といった事は二の次だ。
 アフリカ系アメリカ人発祥のポップ音楽を愛でる一人として、アフリカ系アメリカ人初の大統領が登場したのが単純に嬉しい。それだけ。つまり彼でなくても良かったのかも知れない(あらら)。

 奴隷にさかのぼる系統の黒人ではない、純血の黒人ではない等というのは植木等風に「気にしない気にしない!」のである。

ダニー・ハザウェイ(ハサウェイ)
JB(ジェイムズ[ジェームス]・ブラウン)
スティーヴィー・ワンダー
ジ・アイズリー(アイズレー)・ブラザーズの様な理想に燃え、
サム・クックを引用したスピーチで沸かせ、
ザ・ポインター・シスターズ
アラン・トゥーサン
メイズ・フィーチャリング・フランキー・べヴァリー(ビヴァリー)を想起させるスローガンを掲げ、
ピープル・ゲット・レディ」よろしく列車で(ヨルダンじゃなくて)ワシントンへ向かい、
就任式でアリーサ(アレサ)・フランクリンに愛国歌を歌わせた、そんな彼がとても眩しい。
サム・クック
マーティン・ルーサー・キングJr.
マルコムX等の犠牲は無駄では無かったのだと思わせてくれるだけで充分嬉しい。
 演説というより宗教集会の説教の様な語りっぷりに、いやもっと単純に彼の声に惹かれる。

 でも意外と音痴だったりして(笑)。

補遺

 と言っても、上記の各ミュージシャンを好んで聴いていたであろう世代の大統領が誕生したのが嬉しいのだ。

 任式直前、一月十八日にワシントンD.C. のリンカーン記念館で行われたコンサート
「We Are One: The Obama Inaugural Celebration at the Lincoln Memorial」
(オバマ大統領就任記念コンサート)
の出演者は、
Beyonce
Mary J. Blige
Joh Bon Jovi
Garth Brooks
Sheryl Crow
Renee Fleming
MSTR.SGT. Caleb Breen (US Army)
Josh Groban
Herbie Hancock
Heather Headley
Bettye Lavette
John Legend
John Mellencamp
Jennifer Nettles
Pete Seeger
Shakira
Bruce Springsteen
James Taylor
U2
Usher
Will-I-Am
Stevie Wonder

 guests」
Jack Black
Steve Carell
Rosario Dawson
Jamie Foxx
Tom Hanks
Ashley Judd
Martin Luther King III
Queen Latifah
Laura Linney
George Lopez
Kal Penn
Marisa Tomei
Denzel Washington
Forest Whitaker
Tiger Woods
 and more

吉岡正晴氏のブログに詳細が載っていた。流石。
 就任式に際しての氏の記述も素晴らしい。当然だが敵わない。

 に読んだ本にこういう一節があった。

「人種差別に自覚的な黒人は、褐色の肌をしている事が多い。」

 細かい文章はままだけれど、真っ黒の人にも白人にも距離を置かれ、必然的に自覚的になるのだ、というのがその理由だった。
 サム・クック、マルコムX、ジミ・ヘンドリクス、プリンス、・・・。実際に混血の人も居る。
 そして、新大統領=バラック・オバーマも。

 乍ら単純だと思うが、ロックン・ロールで育った世代が社会の重鎮になると、どんな職種でも矢張り期待してしまう。

 ビル・クリントンがフリートウッド・マックの「ドント・ストップ」をテーマ曲にして、しかもそれがとても自然な流れだと感じられる中で選挙運動を展開した時も嬉しかった。
 この曲を使えば人気取り上プラスになる、といった類いの打算的な匂いは、(少なくとも以前よりも)しなかった。
 「同郷だから」ぐらいの理由で年配の地元候補を応援するという構図とは明らかに違った。

 ’84年の大統領選挙の時の様に、歌詞もろくに理解せず、曲名だけで愛国歌だと勘違いして絶賛した候補が失笑を買う様な事は無かった(※)。

 その意味でも、ブッシュの八年間は停滞或いは逆行していたのかも知れない。

 日本よりもずっと「歌は世に連れ」という傾向の強い欧米のロック・シーンの八年間は、矢張り停滞していたという気がする。

 アメリカン・ロックン・ロール・バンド、特に僕の大好きな「アメリカン・馬鹿ロック勢」の停滞は僕には辛かった。厳しい世情への怒りが生む激しいロックン・ロールも嫌いではないけれど、どうしても後ろ向きなものになりがちなのが苦手。

 まぁ、それも「次の昇り調子への充電・助走」と思えば楽しみに思えてくる。
 ザ・ブラック・クロウズは活動を停止、そして去年から本格復活。
 ヴァン・へイレンはヴォーカリストを初代と二代目を取っ換え引っ換えして営業っぽいトゥアーを行っただけ。
 ガンズ&ローゼズ、まさかの新作発売(※※)。
 エアロスミスは極端にモダーン、次は極端な先祖返りと迷走し、小休止。
 AC/DCは新作を出さなかった。彼等はアメリカじゃないけど、まぁ地球規模のバンドですから(←こじつけ)。

 文化的には、去年あたりからやっと二十一世紀が始まったのだ、と思う。思いたい。

 なので、エアロスミスの本格復活を待つのみ!
 しかし乍ら、ジョー・ペリーの手術で今年最初のライヴが延期になったそうで。
 無理をせず活動を続けて頂きたい。

人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09. (音楽紹介業)

(※)この年に発表され大ヒット中だった、ブルース・スプリングスティーンの『ボーン・イン
・ザ・U.S.A.』。
 ヴェトナム帰還兵が社会復帰する事の困難を、皮肉たっぷりに力強いR&Rサウンドで表現したタイトル曲「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」を、レーガン、モンデールの両候補は曲名から愛国歌だと勘違いし、「私も、皆さんが大好きなブルース・スプリングスティーンのファンです」とカマしたのだ。攻撃対象が、自分が攻撃されていると気付かずにいるという滑稽。ファンどころか「聞いた事すらない」と言った様なものだ(側近も気付かなかったのだろうか?)。
 あの曲のサビは「俺もアメリカ生まれなんだけどなぁ〜」という嘆きなんだよね、多分。

 今回の大統領選では、党候補をオバーマとクリントンが争っている時点で、スプリングスティーンはオバーマ支持を表明し、オバーマは彼の「ザ・ライジング」をテーマ・ソングにした。
 元々は9・11からの復活を信じて書かれたこの曲は、2004年の「ヴォート・フォー・チェインジ」トゥアー – 反ブッシュを呼び掛けたが、その願いは叶わなかった – を経たこの時点で「ブッシュの次」への期待を歌う曲へとなっていた。

(※※)色々言われているけれど、あれこれいじり直してメンバーも入れ替わって、十四年経って「完成」した事を思えば、統一感や同じ音楽性を求める方が間違っている。アルバム三〜四枚分の楽曲からのコンピレイションと思えば割と楽しめる。
 「アクセルのソロ名義で出すべき」ったって、法的に彼が獲得した権利と、彼がこの十年ぐらい(!)意識しているであろうナイン・インチ・ネイルズを思えば、「ガンズ&ローゼズ=W. アクセル・ローズのソロ・プロジェクト名」という認識をしていなかった方が悪いんじゃないのかなぁ?
 だって、スラッシュが離れてからでも、もう十年以上経ってるんだもの。

 クレイジー・キャッツも歌ってるじゃないの。
♪学校出てから十余年〜 今じゃ○○♪
いじったミックス 五万回〜! サバ読むな、このヤロ〜!

十余年経てば、そりゃあ何かしら変わりまさぁね。

あれ? 違う「じゅうよねん」でした。
おあとが宜しい様で。

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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