ラリー・ネクテル Larry Knechtelが亡くなった。
八月二十日。享年六十九。心臓発作らしい。
こちらはバウンス誌のウェブサイト。
よりによってこのタイミングで亡くならくても・・・というのが、不謹慎ではあるが先ず想った事。
サイモン&ガーファンクルの発掘ライヴ、『ライヴ 1969』が今年一般発売された(※)。結果として最終作となった『Bridge Over Troubled Water (明日に架ける橋)』に収録されている楽曲の初演(発売前!)となったトゥアーの模様が収められている。
そのタイトル曲 (彼等の出身地であるNYC録音) はアート・ガーファンクルの歌声とラリー・ネクテルのピアノだけで演奏される(最後の最後にシンバルが入るが)。初めて耳にするその曲を、観衆は息を飲む程の静寂の中で聴き入り、歌い終わりピアノとシンバルの音が残る中、凄まじい拍手喝采でその曲への感想を演奏者に伝える。何度聴いても鳥肌が立つ。
今も立たせ乍らこの文を書いている。この一曲を延々リピート。
このピアニストが亡くなるとは(※2)。
亡くなる前にこの音源が世に出た事をせめて喜ぶべきなのかも知れない。少なくともこの数ヶ月の間は、哀しみを伴わずにこのピアノ・プレイを堪能出来たのだから。
フィル・スペクター近辺、ザ・ビーチ・ボーイズ近辺、S&G近辺そしてブレッドのメンバーでもあった。今回の訃報で気付いたのだが、近年ではザ・ディクスィー(デキシー)・チックスのアルバムにも参加していた。持ってるのに気付かなかった・・・。
(※)昨年、スターバックスでのみ発売され、今年に入って一般店頭に並んだ。
(※2)思えば「Bridge . . .」を彼から引き継ぐ形で弾いていたのはリチャード・ティー (1943-93) だった(ポール・サイモンがずっと起用していたので)。彼が世を去ってもう十六年経つのだな。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09. (音楽紹介業)
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