(馬鹿みたいに長くなったので、前編・後編に分ける事にした。前編の本文はバンド紹介。)
メイズ・フィーチャリング・フランキー・ベヴァリー(ビヴァリー)
の来日公演を観に行った。
2009.9.23 (水曜日)
於:コットン・クラブ
MAZE FEATURING FRANKIE BEVERLY
Wednesday, September 23rd, 2009.
at: Cotton Club, Tokyo
set list:
01 introduction〜LAID BACK GIRL, ’93.
02 SOUTHERN GIRL, ’80.
03 I WANT TO FEEL THAT I’M WANTED, ’85.
04 WE ARE ONE, ’83.
05 CAN’T GET OVER YOU, ’88.
06 RUNNING AWAY, ’81.
07 GOLDEN TIME OF DAY, ’78.
08 THE MORNING AFTER, ’93.
09 BACK IN STRIDE, ’85.
10 WHILE I’M ALONE, ’77.
11 HAPPY FEELIN’S, ’77.
12 JOY & PAIN, ’80.
13 BEFORE I LET YOU GO, ’81.
encore:
I WANNA THANK YOU, ’83.
personell:
FRANKIE BEVERLY vocal, keyboards
McKINLEY “BUG” WILLIAMS percussions, background vocals
ROAME LOWRY congas, background vocals
PHILIP WOO keyboards
LARRY KIMPEL bass guitar
VANCE TAYLOR keyboards
JUBU guitar, background vocals
CHRIS JOHNSON drums
(前編:主にバンド紹介を。公演内容は後編に。)
三度目となる、奇跡と言っても過言ではない来日公演が実現。1989年と1994年以来、十六年振りである。僕は二日目を観た。初日の模様を吉岡正晴氏がその晩のブログに執筆されている。御参照の程。
欧米と日本の人気のギャップの大きなミュージシャンの代表格として、しばしばメイズ・フィーチャリング・フランキー・ベヴァリー(以下メイズ)の名は挙げられる。残念な事だが。
本国アメリカでは過去のアルバム全てが五十万枚・百万枚の大ヒット、ライヴはアリーナやステイディウム・クラスが常。コンテンポラリー・ソウルのヴェテランとして、レコード・デビューから三十年以上のキャリアを誇る(しかしアルバム・リリースはこの十六年無い)。いわゆる「クロスオーヴァー」した(=白人に受けた)経験が無いままでこの規模の商業的成功を得ているという事は、つまりアフリカ系アメリカ人の間でかなり熱狂的な支持をされ続けているという訳だ。
しかし日本公演は毎回クラブ・サイズの会場。しかも過去のスタンディングと違い、今回のコットン・クラブは席有り、二百人程度の会場だ。「この距離はアメリカだとまだ舞台じゃないの?」という位置で彼等を聴けるのだから、観客からするとかなり贅沢なのだけれど。彼等としても珍しい狭さなのではないだろうか。それを「俺達、人気ねぇなあ」では無く、「近い近い!」と楽しんでくれたと思いたい。
音楽性が日本受けしにくいのは、分析するに或る程度は仕方が無い気がする。
ジ・アイズリー(アイズレー)・ブラザーズやP-ファンク、J.B. と同じく、決して多くは無いが熱狂的なファンを持つタイプの音楽だから(※)。
ポリリズムの嵐、ゆったりとした(し過ぎた)グルーヴ、演歌に通じる哀愁や湿度を感じる度合いの低さ、テクニックをひけらかす類の、つまり「コピーしたい」と思わせる(=譜面上で解る、表面的な)フレイズの少ない地味なアンサンブル等が具体的には挙げられよう。
それから異性に受けるルックスではないのも残念だが大きな理由だろう。
日本盤が出ない事の方が多かった。
バンドのマークは長岡秀星なんだけどねぇ。
(※)ロックで言えばボブ・シーガー&ザ・シルヴァー・ブレット・バンド、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、七十年代のジェネシス、AC/DC、解散前のザ・フー等が似た理由で欧米との格差がある代表例だろう。派手でテクニカルなギター・ソロが少ないと書けば更に解り易いだろう。
又、音楽性とは別に、「大有名ではないから」「その種の好事家の間では大御所」という理由で、或る種の優越感と共にそれに夢中になるという傾向は、確かに有る。僕にも確かに少し有る。
と言っても僕はアバもEW&Fもプリンスも大大大大好きだけどね。
セルフ・コンテインド・グループ(※2)受難の時期であった八十年代。EW&Fがザ・フィーニックス(フェニックス)・ホーンズを使わなくなったり、キャミオ(カメオ)、コモドアーズ等がメンバーを減らしたり、P-ファンクの連中がバラバラになったりしていく中、メイズは人数も音楽性も変わらぬスタイルで活動を続けた(但しレコーディングではドラム・マシーンやセッション・ミュージシャンを使う事もあった)。
デビュー時から不動のコア・メンバー=ベヴァリー、パカッション二名、ベイス(現在は脱退)を中心に、キーボード二名、ギター(二名の場合もあった)、ドラムズ要員を各二名程度キープしておいて、その都度適宜組みあわせるという、変則的なメンバー構成ではあるが、活動は継続されている。
二度目の来日以降、キーボードのフィリップ・ウーは日本に在住。トリオやフィリップ・ウー・バンドとして活動、これ迄にはサクラ、ソイソウル(Soysoul、※3)といった共演者が居る。湘南ビーチFM繋がりでは、シャンティと共演もしているので、実際に彼の演奏に接している方も居るだろう。ソウル、ジャズ、ブルーズを演奏する日本人プレイヤーが畏敬の念をもって迎える素晴らしい人物だ。
数年前に葉山の小さなライヴ会場に彼が来たのを切っ掛けとして、僕は彼に憶えて貰えている。
あ、その少し前にも、同じ会場で行ったライヴ(知らなかった)の帰りに逗子駅に居る彼を偶然見掛け、「あ! あれフィリップ・ウーだよ! 何で何で?!」と驚いて話し掛けた事も有ったっけ。
今回の来日公演実現に至る過程(或いは切っ掛け)での彼の尽力を思うに、ウーさんが日本在住である事に我々は感謝せねばならない。
現在のメイズは先に触れた通りコア・メンバーが三人に減った。1980年の四枚目から断続的に参加しているウーは現在の八人の中で四番目に長いメンバーという事になる(※4)。
(※2)自給自足グループ。つまりゲストを余り迎えず、基本的にライヴ演奏とレコード作りを同じメンバーで歌い演奏する大編成バンドの事。
(※3)準メンバー的な関わりだったらしい。ソイソウルの中心人物であるパワフルなシンガー、ズーコ(ZOOCO、元エスカレーターズ)と僕は十八年前から知り合い。三浦大知の曲で作詞をしていたのを発見した時は大喜びした!
(※4)ウーは四枚目〜六枚目(含傑作ライヴ・アルバム『ライヴ・イン・ニュー・オーリーンズ』)、十枚目に参加。過去の二度の来日公演にはどちらも参加。特に初来日時のアルバム『シルキー・ソウル』には不参加だったので、舞台に居る彼を確認した時はとても嬉しかった。ウーの参加時期が彼等のピークと重なっていると思っている人間として、そして同じ黄色人種として。
今回の来日公演は東京でのみ四回。
(後編へ続く)
special thank
s to 吉岡正晴
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09. (音楽紹介業)
コメント
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人見さんも行ったんですね?さすが!
私も金曜日に最前列で見ました。
最高でした!
ギターのJhon Jubu Smithの大ファンになりましたよ。
彼のSoul Seekersというゴスペルファンクバンドのアルバムが最高です。聞いてみてください。 Like
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リチャードさん
おお。御久し振りです!
矢張り見逃しませんでしたね。
16のリズム・カッティングや単音ピッキングのギターが入ったアンサンブルに弱いのですよ、ワタクシ。音楽性に関係無く。
だからシーク、EW&F、J.B.は勿論のこと、エアロスミス、ピンク・クラウド、山下達郎、U2、ヘアカット100、ネイティヴ・サン、アンチェイン(UNCHAIN)、・・・等と、書き出しているだけで気持ち良くなってしまいます。
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