津久井克行が亡くなった。
十月二日。膵臓癌。享年四十九。
こちらはサンケイスポーツ。
「夏の日の1993」の大ヒットで知られるクラス (Class) のメンバーとして知られ、解散後はソロとしてライヴを中心に精力的に活動、近年はクラスの再結成とソロを並行(※)させていた。
と言っても僕は(特定の数組を除いて)洋楽一辺倒と言える状態に突入していた時期だった為、覚えていないのだけれど。
僕は津久井さんとは仕事を通して知り合った。と言うよりも世話になった。
悪い印象を持たれたままだったと言うべきだろう・・・。「使えないPA担当者」として。
横須賀にアンジェロというライヴハウスがあった(現在も同所に同名で飲食店として営業中)。其処のPA担当として週に三日程度働いていた時期が有る。
津久井さんはアンジェロへ月に一、二度出演されていた。
上記の通り、僕には「元クラス」という記憶・先入観が無かったので、とても洋楽色の強いポップス/ロックン・ロールを演奏する素晴らしいミュージシャンという印象を持った。流石に「1993」は演らない訳には行かないらしく、やや義務的にセット・リストに組み込んでいた(のだと思う)。良い曲だとは思ったが、他の曲と比べて浮いているという気がした。彼は基本的にシンガー=ソングライター。この曲が彼の作曲では無かったという事を僕が知るのは少し経ってからだ。
カヴァー・レパートリーはザ・ビートルズやエリック・クラプトン等。アンコールは「スタンド・バイ・ミー」が定番だったと記憶する。
僕が好む種類の声、つまり高音でハスキー且つ湿度低めという声の持ち主で、当時の最新盤であったミニ・アルバムには何と大好きな荒木真樹彦作曲の一曲が含まれていた。勿論、すかさず購入した。
楽屋が一緒で、つまりメンバーの皆さん(※2)との雑談に同席させて頂いていた事になる。とても楽しかった。
基本的にかなりのビートルメイニアで、その重箱の隅をつつく類の雑談がとても面白かった。丁度ポール・ムカートニー(マッカートニー)の来日直後にアンジェロへいらした事があり、その話題でかなり盛り上がっていたのを強く記憶している。
津久井さん四十九歳だったんですか。僕の七〜八歳上なのですね。
ザ・ビートルズ実体験にぎりぎりで間に合わなかったという世代。そういう「タッチの差で乗り遅れた」世代の方が、悔しさもパワーにして盛り上がるという傾向はよくあると思う。ザ・ビートルズも、ソロ初期が中学生や高校生だったぐらいの世代が一番熱い気がする。今回のリマスター盤もその世代が中心なのではと想像している。
ライヴでも音作り(編曲にも音のミックスバランスにも)にこだわる、とても繊細な方だった。モニター・バランス他、音質面での御希望に全く応えられずにいた自分をずっと恥じている。
「ティアーズ・イン・へヴン」はエリックよりも津久井さんのヴァージョンの方が好きです。いや本当に。
・・・って、直接言えた事があったかどうか。記憶が定かで無いのが悔しい。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09.
(※)リンク先であるサンケイスポーツの本文には「平行」という誤植が。ありがちなミスだけど、訃報でそれは無いよなぁと思う。
(※2)よく同行されていたメンバーの一人に、現在ジュリー・バンドのキーボードを担当されている泰輝さんが居る。当時は大山泰輝(本名)。ソロ・アルバム『ピアノ・ロック』収録の楽曲は、番組「バック・トゥ・ザ・’70s」のBGMとして使用させて頂いている。
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