つい今し方、今日の昼過ぎ更新という新聞社ウェブサイトの「おくやみ」で知った。
アイク・ターナー (Ike Turner) が亡くなった。
十二月十二日没。死因はまだ明らかにされていない(※)。享年七十六。
(※)その後コケインの過剰使用と発表された。
偶然にも昨日、アイク&ティナ・ターナーを聴いていた所だったのでびっくり。(彼等の曲も多数収録された、ピーター・バラカン選曲のCD『The Best of Sue Records – I Can’t Stand It!!』を聴いていたのだ。)
こんな事だったら、一昨日の番組で「ロケット88」を選んでおけば良かった(ギリギリ迄悩んで、結局落としてしまったのだ)。
ちなみにアイクはこの曲ではピアノを弾いているらしい。
熱心なオールドR&Bファン以外の一般音楽ファンには、特にティナ・ターナー復帰後のここ二十五年弱の間は、「アイク・ターナーは、ティナの元DV夫。アルコールとドラッグまみれ」という情報ばかり。音楽的な情報は後回し。
本国ではどうだったのだろう?
ティナの自伝映画でも「嫌な夫」としてしか描かれておらず、「そんな奴と結婚する訳が無いだろう?」とアイク自身が苦言を呈していたのを憶えている。という事は、本国でも大して変わらない扱いだったのだろうか。
ミュージシャンなのに音楽に関する情報なんかありゃしない。
彼はミュージシャンだ。そこを評価も理解もせずに、「弥次馬的情報」と「彼の音楽そのもの」を混同して、音楽家としての彼を判断してはならない筈だ。
一般論として当然ではないか。評判を落としたり逮捕されるのは「人」であって、その人物が作った「作品」に前科が付く訳では無いからだ。
訃報に際しこの続きを展開するのも不謹慎なので、いずれ改めて。
(少し感傷的転じて攻撃的な心境になっているという自覚は有るので自粛。)
彼はR&R誕生及び普及期に多大な貢献をしたバンドリーダーだ。
思うに、以前からのジャズのスモール・コンボ編成の枠組みの中で、しかし大胆な変革をやってのけた。
ブラックの世界で言えば、リトル・リチャード→JB→スライ→Pファンク→リック・ジェイムズ→プリンス→パブリック・エネミー、・・・。
ロックで言えば、エルヴィス→ザ・ビートルズ→レッド・ゼプリン→グラム・ロック→パンク→第二次ブリティッシュ・インヴェイジョン→グランジ→オエイスィス(オアシス)→(ホ)ワイト・ストライプス、・・・。
と繰り返される、「大衆音楽の高級化が起きた時の揺れ戻し→新たな(=次世代の若年層が歓迎する)『やかましい音楽』の登場」。
彼の時代にはそれがR&B/R&Rであり、生み出した側で際立っていた一人が彼だったのだと思う。
そんな五十年以上前の大衆音楽シーンの生き証人だったアイク・ターナー。一度で良いからライヴを観たかった。残念だ。
冥福を祈る。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’07.
コメント
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僕もアイクは「アルコール、ドラッグ、DVのクズ野郎」という印象しかなくて、
「R&R誕生及び普及期に多大な貢献をしたバンドリーダー」という認識は全くありませんでした。
そんな偉大なミュージシャンだったとは、全然知りませんでした。
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