池田駿介が亡くなった。
六月十一日。胃癌。享年六十八。
こちらはヤフー!経由の夕刊フジ。
昭和十六年生まれ。
両親と同い歳だったのだな。ううむ。
訃報は、火曜夕刻、番組の為にやって来た葉山マリーナーの事務所で局スタッフが教えてくれた。
「人見さんはもう知ってると思った。」
不覚。知らなかった。
「人見さんなら『キカイダー01(ゼロワン)の人』で(俳優の)名前が出ると思ってた。」
不覚。
「『帰ってきたウルトラマン』で隊員役もやってたんですよ」迄はすぐに出たが、肝心の名前は出てこなかった。
本当に加齢による記憶を呼び出すスピードの低下は著しい(飽くまで「忘れた」とは認めない意固地な奴)。
実は、先月のロニー・ジェイムズ・ディオ死去の頃に改めて彼の顔を見、「ディオと池田駿介は似ている!」と一人でほくそ笑んでいた所だった。その彼も鬼籍に入ってしまうとは。
最も有名なのは「キカイダー01」主役=イチロー役としての彼という事になるだろう。昭和四十八〜九(1973-4)年。「キカイダー」「キカイダー01」は勿論観ていた。かなり観ていた。真似もした。
しかし僕が「池田駿介」でもっと強く思い出すのはその数年前、昭和四十六〜七(1971-2)年、「帰ってきたウルトラマン」の警備隊=MATの南隊員だ。隊員なので流石に真似はしなかったけれど、印象はイチローよりも何故か強い。きっと作品全体への思い入れの違いだろう。石(ノ)森章太郎には申し訳ないけれど(※)。
「帰ってきたウルトラマン」は、昭和四十二年生まれの僕にとって初めての「新作のウルトラマン」だった。四歳だからそれを知っていたとは思えないけれど、キャラクター・グッズ等からおそらくその「新品感」には気付いていただろう。
でも如何せん保育園児の年齢である。最初は良くても「怪獣博士」、格闘シーンではウルトラマンと共に闘い(笑)、MATが危機に瀕してマットアロウが墜落でもしようものなら一緒に床にしゃがみこんだ事だろう。物語のシリアスな展開に気付くのは、おそらく小学高学年で手にした朝日ソノラマのムック「ファンタスティック・コレクション(ファンコレ)」と、中学生になり、それを手に観た再放送からだ。
そこで僕は南隊員の「いい人」ぶりに惚れる。チームとしてのMATに、ドラマとしての、作品としての「帰ってきたウルトラマン」に惚れる。
南は年齢的にも他の若手隊員より少し上、隊長に次ぐサブ・リーダー的な立場だった。冷徹キャラの岸田と、生意気で(これは岸田もだが)熱血漢の新入り=郷がしばしば衝突するのを仲裁する「いい人」ぶり(因みに上野は「いい奴」)。
「ウルトラマン」の科学特捜隊、「ウルトラセブン」のウルトラ警備隊と較べて、とてもシリアスな、或る意味ではより仕事場らしい、とても真面目な空気をいつもMATは醸し出していた。アット・ホームな場面は坂田家との場面でという設定を作ったからこその「職場感」だったのだろうけれど(※2)。
兎に角、「帰ってきたウルトラマン」は夢中で観た。上記の、朝やっていた再放送でもほぼ全話、追憶・懐かしさ以上の興味で夢中で観た。
完成度の高さを実感した。再出発ではあるが「新しいウルトラマンを作るのだ、シリーズとなるべく頑張るのだ」という志の高さがドラマ性の充実や丁寧な編集に反映された。ウルトラマン、怪獣、メカデザインの格好良さも、本作から始まる第二次シリーズでは突出している。つまり角やらハリボテやらといった余計な物が付いていないのだ(※3)。
実はそんな想いの返す刀で次作「ウルトラマンA(エース)」はあまり観なかった。リアル・タイムのウルトラマン・ファンを離れた。これに関しては昨冬観たウルトラマン映画に就いての記事、末部の「注釈※2」で触れた。
つまりガキ乍らに「こりや子供騙しだ」と感覚的に気付いたのだ。
まぁ、それで「仮面ライダー」に流れる所がこれまた実にガキらしいが(笑)。
結果、「ライダー」は「アマゾン」と「ストロンガー」を少しという辺り迄観続けた。
さて。
その時期に、もしかしたらライダー・シリーズよりも夢中だったのが「人造人間キカイダー」である。
僕が基本的にラッパのジーンズ、いわゆるサファリ・ルックジージャン、カウボーイ風ベスト、テンガロン・ハットといったアイテムが好きなのはキカイダーのジロー、イチロー、そして一文字隼人(仮面ライダー二号、僕のハンチングは彼の影響)あたりの影響であって、実はドニー・ハサウェイ(ダニー・ハザウェイ)やカーティス・メイフィールド、ジュリーでは無い(笑)。
そして実はサブロー(ハカイダー)に一番憧れていた。
雨も降っていないのに長靴を履き、彼よろしくナイフ(を気取ったプラスティック製の小刀)やピストル(銀玉か円盤を飛ばすプラスティック銃又は水鉄砲)を靴に差したりしていた。そういう「真似をし易い設定」で子供の心を掴むのが上手かった。
(以降加筆予定)
(※)
僕は世代的には完全に石森章太郎で育ったクチだ。仮面ライダー、キカイダー、009(カラーTV版)、変身忍者 嵐、イナズマン、さるとびエッちゃん、がんばれ!!ロボコン、ロボット刑事K、アクマイザー3〜超神ビビューン、秘密戦隊ゴレンジャー、宇宙鉄人キョーダイン、大鉄人17(ワンセブン)、そして「怪傑っ、ズベェア〜ット!」等など。
でも、少なくとも僕の場合は、飽くまで「幼い頃に熱中したもの」で、ウルトラセブン(に限定)の様に「成長してからの再見」を望んで映像ソフトを買うというものでは無い。
あ、ズバットだけは別格(笑)。LD持ってる。
(※2)
坂田 健(演ずるは嗚呼偉大なる岸田 森!)の最期のシーンでの、郷が発する「坂田さん」という見事な棒読みは伝説である(?)。
(※3)
第一期ウルトラ・シリーズのチーフ・デザイナーだった成田 亨は、
「私のデザインしたウルトラマンに、後年線がもう一本入ったり角が生えたり、果ては乳房がついたりしましたが、これは私とは関係の無い事です。(記憶による採録につき細部ママ)」と怒りと皮肉を込めて回想している。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’10. (音楽紹介業)
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