(8/9、ディスコグラフィ他を加筆)
(8/10[火]の「スターライト・クルージン」で追悼を行う予定)
Phelps “Catfish” Collins
フェルプス “キャットフィッシュ” コリンズ
が亡くなった。
八月六日。享年六十六。癌。長く闘病中だったという。
こちらは、吉岡正晴氏がトウィッター(ツイッター)で伝えた際のリンク先で、キャットフィッシュの地元であるオハイオ州シンシナティの cincinnati.com。
僕が訃報を知ったのはその吉岡氏のトウィッター(ツイッター)。
こちらはバウンス誌のウェブサイト。九日夜に掲載。
そしてこちらが吉岡正晴氏のブログ(十三日深夜の掲載)。
ファンク期のJBファン、七〜八十年代の P-ファンクのフリークならば彼の名を御存知だと思う。
キャットフィッシュは、「セックス・マシーン」期の James Brown ジェイムズ(ジェームス)・ブラウンのバック・バンド=ほどなく The JB’s ザ・JBズと呼ばれる事となるバンドのメンバーとして頭角を現し、その後 P-ファンク軍団入り。七十年代半ば以降は P-ファンク内の重要バンドである Bootsy’s Rubber Band ブーツィーズ・ラバー・バンド結成に参加、ギターリストとして活躍。ブーツィのソロそしてラバー・バンド再結成にも継続参加。
ザ・JB’s 加入前のアマチュア時代からずっと行動を友にして来たベイシストでラバー・バンドのリーダーである William “Bootsy” Collins ウィリアム “ブーツィ” コリンズは彼の弟である。
一般的にはブーツィの方が知名度は高く、「ブーツィの兄」という肩書きがおそらく上記の経歴よりも先に来る事が多いと思うが、ずっと行動を共にして来た兄とのセット=コリンズ兄弟として、ブーツィを、キャットフィッシュを、彼等を捉えるべきだと僕は思っている(※2)
P-ファンク軍団中枢の訃報としては、Garry Shider ギャリー(ゲイリー)・シャイダーの悲報から僅かひと月半。
こちらは P-ファンク・ファミリー、DeWayne ‘Blackbyrd’ McKnight デウェイン ‘ブラックバード’ ムクナイト(マックナイト)の奥さん(日本人、よって日本語)のブログ。彼女は基本的にブラックバードのコメントを「聞き書き」しているので、ほぼ「ブラックバードの日本語版ブログ」と言って良いと思う(その意図で作られている筈)。愛情と信頼度の高さを伴った、P-ファンク当事者からの情報として、とても参考になる。
キャットフィッシュ。
僕が先ず浮かぶのは「スーパー・バッド」での、一人で出しているとは思えないギター・プレイ。
彼が JB バンドに在籍していた初期、有名曲で言えば
「Get Up (I Feel Like Being Like a) Sex Machine」
「Super Bad」
のギターはキャットフィッシュ一人によるものである(※2)。JB はその殆んどの時期、ギターリストを二人置いているので、単に「もう一人の適任者を捜していた」期間なのかも知れないが、このキャットフィッシュが唯一のギターリストであった短い期間の間に、後の
「Talkin’ Loud & Sayin’ Nothing」
(with Hearlon “Cheese” Martin on guitar)
「Get Up, Get into It and Get Involved」
(with Hearlon ‘Cheese’ Martin)
「Soul Power」
(with Bobby Roach)
といった作品へと昇華されるソリッドなファンクの基本形となるギター・アンサンブルのパターンを、キャットフィッシュ単独期にほぼ完成させているのが興味深い。
特に「スーパー・バッド」は、コード・カッティングと単音ピッキングを交互に行う事で、その後二人で分け合うギター・パートを一人でこなしているとも言えるだろう。
済みません、僕は特に「スーパー・バッド」贔屓なのです。
偏った評価だと思う方に向けて、先に正直に告白しておきます(笑)。
勿論、いずれの曲でも、ブーツィのベイスとの絡みが凄まじい。
九十年代に発掘音源として初めて公式発売されたライヴ・アルバム “Love, Power, Peace” の勢いたるや、聴く度に絶句してしまう。又、聴こう。聴かなきゃやってられない。
ブーツィーズ・ラバー・バンドはその名の如く弟が主役で、やがて弟のソロ名義に移行していく事からも明らかだが、キャットフィッシュはサポート役に徹している。しかし彼のリズム・ギターは「要」だ。リズム・ギター好きには堪らないプレイが其処此処に散りばめられている。
パーラメント/ファンカデリック作品への参加は少ないが、代表曲の一つである “Flash Light” のあのリズム・ギターは彼によるものだ。
the famous works of
PHILPS ‘CATFISH’ COLLINS &
WILLIAM ‘BOOTSY’ COLLINS (※3)
1968(?)-70/The Pacemakers:
1970-1/James Brown, The (original) JB’s:
James Brown:
(songs)
1970 Get Up (I Feel Like Being Like a) Sex Machine
1970 Super Bad
1970 Give It Up or Turn It a Loose
1970 There Was a Time (I Got to Move)
1970 Talkin’ Loud and Sayin’ Nothing (released in ’72)
1970 Get Up, Get into It and Get Involved
1971 Soul Power
(albums)
1970 Sex Machine
(They played 1970 studio-live tracks only)
1992 Love, Power, Peace
- Live at the Olympia, Paris, 1971
(live recorded in 1971)
1996 Funk Power – 1970 A Brand New Thang
(compilation)
The JB’s:
1972 Food for Thought
(They played 2 songs recorded in 1970-1)
1971-2/House Guests:
1972-80/Funkadelic, Parliament:
1972 America Eats Its Young /Funkadelic
1977 Funkentelechy Vs. Placebo Syndrome /Parliament
1978 Motor Booty Affair /Parliament
1979 Gloryhallastoopid (Or Pin the Tail on the Funky) /Parliament
1976-2006/Bootsy’s Rubber Band (or Bootsy’s solo)
:
1976 Stretchin’ Out in Bootsy’s Rubber Band /Bootsy’s Rubber Band
1976 Live in Oklahoma 1976 (released in 2001) /Bootsy’s Rubber Band
1977 Ahh… The Name Is Bootsy, Baby! /Bootsy’s Rubber Band
1978 Bootsy? Player of the Year /Bootsy’s Rubber Band
1978 Live in Louisville 1978 (released in 1999) /Bootsy’s Rubber Band
1979 This Boot Is Made for Fonk-n /Bootsy’s Rubber Band
1980 Ultra Wave /Bootsy
1982 The One Giveth, the Count Taketh Away /William Bootsy Collins
1988 What’s Bootsy Doin? /Bootsy Collins
1994 Blasters of the Universe /Bootsy’s New Rubber Band
2006 Christmas Is 4 Ever /Bootsy Collins
1976-80/other p-funk army:
1977 A Blow for Me, A Toot for You
/Fred Wesley and the Horny Horns
1978 Funk of Walk /The Brides of Funkenstein
1979 Say Blow by Blow Backwards
/Fred Wesley and the Horny Horns featuring Maceo Parker
1979 Invasion of the Booty snatchers /Parlet
1976-9 The Final Blow /The Horny Horns (relaesed in 1994)
1980 Play Me or Trade Me /Parlet
1980-/other works:
1981 Godmoma Here /Godmoma
2007 Superbad (movie soundtrack)
写真は1978年の “Bootsy?” 。
これは LP 大じゃないと本当に面白くない。
裏ジャケ。左上のアップが本記事冒頭の一枚。運良く、写真の十人のうち九人からサインを貰ってある。
見開き内ジャケ。ブーツィーの顔の上に
「George Clinton Hit Me」と!
(※)その知名度の差、兄弟での担当楽器、セットで活動という意味ではザ・ブラザーズ・ジョンスン(ジョンソン)と共通するのだなと、今これを書いていて気付いた。しかもデビューの時期迄。
P-ファンクが「裏 EW&F」であるという位置付けに即すならば、ラバー・バンドは「裏ブラジョン」だったのか? 偶然にもモーリース・ワイト(ホワイト)とクインシー・ジョーンズという「表」の両巨頭を茶化していた事になる?
(※2)
LP 時代から JB を買っている方ならば御存知だと思うけれど、八十年代半ば頃迄、彼のバンド・メンバーは殆んどクレディットされてこなかった。時折、曲中で JB がメンバーの名を呼ぶので、「ふむふむこの曲には○○が参加しているのだな」と判断するという程度。他はそれこそ「耳」で判断するしか無い。録音日、場所も、少なくとも LP カヴァーや内袋に明記される事は皆無に近かった。
我々が多くの曲のレコーディング・メンバーや録音デイタを知る事になるのは、八十年代半ばに CD 時代となって以降。
英国人クリフ・ワイト(ホワイト)等が編集に関わったコンピレイション盤 “The CD of JB” “The CD of JB II” “In the Jungle Groove” 等のブックレットに記されたデイタは本当に有難かった。これだけとってみても、我々は英国に足を向けて眠れない。
多分向けてる事も有るけど。
(※3)
コリンズ兄弟の活動の多くには、ドラマー=Frankie ‘Kash’ Waddy フランキー・キャッシュ・ワディも同行している。決してテクニカルではないけれど、とてもファンキーで癖の強い彼のドラミングは兄弟にとても合っている(だからこそずっと一緒だったのだろうけれど)。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’10. (音楽紹介業)
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