John Barry ジョン・バリー
が亡くなった。
一月三十日。享年七十七。心臓発作(但し家族は死因を公表していないそうだ)。
こちらは
バークス。
何と言っても、多くの方々同様、ジェイムズ(ジェームス)・ボンド映画の音楽担当である。TVで矢鱈と観たし(何度も放送していたし)、何だかんだで LD と DVD で全部買っている(中古だけど)。
但し、あの有名な「James Bond Theme」は編曲・演奏は彼だが作曲はモンティ・ノーマン(となっているが作曲もバリーという説あり)。
八十年代前半の 007シリーズの TV 放送って、何故か定期テストの試験前一週間(部活休み)から試験当日にありませんでしたか? 親に叱られまくっていた記憶と共にショーン・コネリーやジョージ・レイゼンビー、ロジャー・モー(ムーア)が減らず口を叩き乍ら女王陛下の為に任務を遂行していた気がする。
まぁ森山周一郎や広川太一郎が話していた訳だけれど。
で、結局観てた。だからこうなっちゃった?
近作は担当していなかったが、今迄の 007映画中、半数の音楽担当は彼である。
「どの 007映画が最初(に新作として記憶している)か?」によって、つまり世代で好みは大きく分けられるだろう。’67年生まれの僕は、街のポスターや漫画雑誌の特集等でハッキリと覚えているのは「007/私を愛したスパイ」(1977)。水陸両用車のロータス・エスプリ、悪役としてジョーズ(リチャード・キール)、ボンド・ガールはバーバラ・バック(この後、リンゴォ・スター夫人に)というと思い出す方も多いだろうか。
但しこの映画の音楽担当はバリーではなくマーヴィン・ヘイムリッシュ(ハムリッシュ)。
上記「テーマ」と「ロシアより愛をこめて」の主題歌を例外として、ショーン・コネリー時代の音楽担当は全てバリーだ。「ゴールドフィンガー」「サンダーボール作戦」辺りの、映画全体を盛り上げる「演出」「効果音」としての緊迫感あるメロディ、演奏は堪らない。
バリー担当ではないけれど、「最初が親」という事もあってかパッと思い浮かぶ「良い映像と音楽のセット」は「私を愛したスパイ」冒頭のスキーのスタント。スキーで滑降し乍ら敵とドンパチやるのだが、そんな大自然の中のシーンに、シンセサイザーをふんだんに使い、リズムはディスコ・ビートにアレインジされた「テーマ」を合わせたセンスが素晴らしい。そして絶壁を落下していく時は無音(これは寧ろ監督のセンスなのだろうけれど)。ユニオン・ジャック柄のパラシュートが開く時の快感といったらない。極東のニッポン人でさえそうなんだから、英国人だったら本当に堪らないだろうな。
現在に至る迄、テーマは当然の様に使用され続けている。その事が象徴する様に、007と言えばジョン・バリーの音楽であり、具体的に関わっていない作品にも(その音楽担当者にも)「意識」として「ジョン・バリー風」が息づいていると思う。原作者のイアン・フレミングに次ぐ影響力の強さと言えるかも知れない。
まぁこれは勿論、音楽贔屓が強い(強過ぎる)僕の基本姿勢もあっての見解。
007映画に関しては色々と言われるけれど、映画なんだから、冒険活劇としてスクリーンを活用しまくるのは当然だと思う。全部好き。「リヴィング・デイライツ」「消されたライセンス」でさえ好き(笑)。「リヴィング・デイライツ」はマリアム・ダボを観られるだけでもう幸せ!
あ、後者の音楽はバリーじゃないけど。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’11. (音楽紹介業)
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