Robin Trower ロビン・トラウアー(トロワー)の近作二枚。
2009 What Lies Beneath (V12 501125)
2010 The Playful Heart (V12 501130)
これがどちらも素晴らしい。
勿論、彼の最も素晴らしい仕事は七十年代半ば、Chrysalis 在籍時の諸作という事になるのだけれど、以降のアルバムも実はどれも良い。八十年頃には Jack Bruce ジャック・ブルースと組んだりもして、特にそれは大好き。
〜1971,91&95 /Procol Harum
1973 Twice Removed from Yesterday
1974 Bridge of Sighs
1975 For Earth Below
1976 Robin Trower Live
1976 Long Misty Days
1977 In City Dreams
1978 Caravan t Midnight
1979 Victims of the Fury
1981 B.L.T. /Robin Trower & Jack Bruce
1981 Truce /Robin Trower & Jack Bruce
1983 Back It Up
1985 Beyond the Mist
1987 Passion
1988 Take What You Need
1990 In the Line of Fire
1993 Taxi /Bryan Ferry (produced by Robin Trower)
1994 20th Century Blues
1994 Mamouna /Bryan Ferry (produced by Robin Trower)
1995 Live in Concert
1996 In Concert
1997 Someday Blues
2000 Go My Way
2004 Living Out of Time
2005 Living Out of Time: Live
2005 Another Days Blues
2008 RT@RO.08
2008 Seven Moons /Jack Bruce and Robin Trower
2009 Seven Moons LIve /Jack Bruce and Robin Trower
2009 What Lies Beneath
2010 The Playful Heart
1975 BBC Radio 1 Live (released in 1995)
1977? In Concert (King Biscuit Flower Hour) (released in 1996)
1974-98 This Was Now ’74-’98 (released in 1999)
1973-75 Robin Trower at the BBC 1973-1975 (released in 2011)
1975-78&81年のアルバムのドラマーは、元スライ&ザ・ファミリー・ストーンのビル・ローダン。
特に1977年のアルバムでは、同じく元スライ&ザ・ファミリー・ストーンのラスティ・アレンもベイシストとして合流、スライ “Small Talk” のリズム・セクションが再会しているのもスライ好きとしては見逃せない所。当然の様にファンク・ロックが展開されており素晴らしい一枚となっている。
ブライアン・フェリーの今世紀に入っての二枚 “Dylanesque” “Olympia” にもギターリストとして参加している。彼がプロデューサーだった九十年代のアウトテイクを仕上げたものと推察する。その九十年代には、フェリーのライヴで来日もしている。当時、直後にそれを知り悔しかったのを思い出す。
でも観るなら彼名義のライヴだな。
簡単に言ってしまうと、ロビン・トラウアーの音楽はジミ・ヘンドリクスの継承。
プロコル・ハルムの頃から彼の楽曲にはそういう要素が有り、それはバンドの中では異質と言える要素だった。その方向性を追求するべく脱退し、自らの名を冠したグループ(途中からソロと区別がつかなくなった感じ)を結成したという事になるだろう。
彼の「ジミ風」は物真似に終わらない。彼らしさがちゃんと有って、でもジミっぽさがプンプン、というのがとても良い所。
勿論、基本はギター・トリオ。
音色やフレイズは、本当に研究者っぽいのだけれど、他のジミ・フォロワーの様に、ともすると物真似っぽくなってしまう事無く、そんな彼等が忘れがちな「暴走する熱」がいつも宿っていて良い。
そして何より、「ジミはファンクである」という重要な要素をいつも感じられるのが嬉しい。
近作二枚も、その辺がバッチリとクリアされているのだ。燃える。
年相応に、全体にテンポが落ちているが、こっちも四十代になっているから何だか落ち着く(笑)。ぐっとテンポが落ちて、でも重く熱い。つまりバンド・オヴ・ジプシーズみたいなのが嬉しい。九十年代に、(他の同世代ギターリストの多くと同じく)ブルーズ色がかなり強くなり、正直な感想として少しつまらなかったが、その後はより「ジミっぽいブルーズ」になって(=戻って)来た。
風体もいよいよ研究者みたいになって来た。
但し、七十年代のジェイムズ(ジェームス)・デューワー、ジャック・ブルースとの二枚以降、残念な事にシンガーには恵まれていない。近年は彼自身が歌っているが、どうにも弱い。味があって嫌いではないのだけれど。
新作では半数は八十年代に在籍したシンガーを再び迎えているのだが、ううむ。彼を専任シンガーとして立たせるのであれば、トリオでトラウアーが歌った方が潔いかなという感じ。
ロビン・トラウアー、1945年生まれ。今年で六十六歳。
来日を切に願う一人。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’11. (音楽紹介業)
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