本日木曜日、ぴあ最終号が店頭に並んだ。
三十九年中の三十六年の間、ずっと表紙を手掛けていたという及川正通による表紙の特集と言っていい。ミュージシャンで最多は九回のドリームズ・カム・トゥルーだそうだ(バンド名義も含めると桑田佳祐が十回だという)。
佐野元春、チャボ&泉谷、笑福亭鶴瓶他、様々なミュージシャン、タレントがコメントを寄せている。
創刊号である1972年の「月刊ぴあ」の復刻版も入っている。
雑誌そのものに大しての思い入れは無い。でも当然の様にインタネット普及前の時期は、音楽、特にコンサートの情報はいつもぴあから得ていたし、ほぼ漏らさず立ち読みをしていた(失礼!)。山下達郎のインタヴューが載った号は買った。但し該当頁を切り取って保存しているので手元にその号そのものは無い。
チケット発売情報は、本当にぴあ頼りだったと言って良いだろう。
で、電話のみの予約は早々に諦めてチケットぴあ店頭発売や会場発売の有無を確認して徹夜で並んで。それで友人が出来たりして。
批評や私見を排した「情報誌」だったので、インタネット普及の影響を最も受けていた雑誌だったのだろう。残酷だけれど、役割を終えたと諦めるしか無い。
「はみだしYouとPia」は、思えばトウィッター(ツイッター)の先駆であるけれど。
二十年前の書店の雑誌コーナー、それどころかコンヴィーニエンス・ストアの雑誌コーナーに在ったもの常に並んでいた音楽関連の雑誌が消えるのは本当に残念だ。特にコンヴィーニエンス・ストアからこれでほぼ音楽関連の雑誌が消滅した事になる(※)。
最盛期にはFM四誌、ぴあ、シティロードといった音楽/映画/文化情報誌が並んだものなのに。
悲しい。
といった事に思いを馳せ、感慨深く購入した。
しかし改めて、この似顔絵は見事だよなあ。
因みに、最後の最後に、しかも表紙(左下部)で
『グラムロックの草分け「カルチャークラブ」のボーイ・ジョージ」よ、知ってる?』
とやってしまった。
知りませんでした。カルチャー・クラブがグラム・ロックの草分けだったとは。十年後の変種だったのだなぁとは思い直しましたが。
(※)僕は「日経エンタテインメント!」を音楽関連の雑誌だとは考えていない。
あれは「日経の視点で作ったフラッシュ/フライデー或いは女性週刊誌」又は「芸能を材にした競馬新聞」であって、音楽ファンやエンタテイメントのファンが楽しめる内容では無い。ファンでは無い人間が、知ったかぶりもいいとこで「あれはこうなるんじゃないの?」と偉そうに予想を述べる為のネタ帳だ。
僕の定義では「音楽ファンが作った音楽ファンの為に作った雑誌」が「音楽雑誌」であって、それには当て嵌まらないから。
え?一応読んでますよ。立ち読みですけど。
ちゃんと問題提起をしたいから最低限の礼儀として。
当然のこと、同誌が増刊として出している「大人のロック!」も同じ傾向で、あれは「昔ロック・ファンだった人に懐メロとして会社帰りに CD や DVD を買わせよう」という狙いが透けて見える。レコード会社も勿論その世代は「金のなる木」だから歓迎する訳で。
三十年以上現役であるこちらとしては違和感を拭えない。まぁ僕は少数派だから仕方無いけど。
あ、こっちは何だかんだで買っちゃうんですよ。情報、写真、ザ・フー、松村雄策が載ってるとついつい。敵の策に嵌っているとは知りつつ。悔しいけど。
「王道を続けているうちに小数派になって、それでも踏ん張る」という立ち位置がどうも好きでしてね、僕は(笑)。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’11. (音楽紹介業)
コメント
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初めまして、通りすがりの40代音楽ファンです。
私もぴあを購入しまして、「グラムロックの草分け」に引っかかり、あれ~?今はそういう評価もあるの~??と思わず「カルチャークラブ グラムロック」で検索したら、こちらのブログがヒットしました。
グラムロックといえばTレックスやボウイですから、時期が全然違いますよね。 Like
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お久しぶりです。
…そうですか、ぴあも最後の最後にしてやらかしてしまいましたね(笑)
ま、これで俺がかねてより提唱している(笑)「歴史はねつ造される」の一例になってしまいましたね。最終号ですから、もうこのまま「事実」として残ってしまい、「若い世代」は「そんなものかと思い」、「古い世代」は「そう思うのかと」とあきらめて、いつしかカルチャークラブはグラムロックと定義されてしまうわけですねえ。
普通に考えたら、何で「アポロ劇場」でスティービーワンダーと共演するんでしょうって話なんですが、でも「見かけ」で人は判断し、決めつけてしまうんですね。ま、そんな事を(「草分け」なんて書いたら弁解の余地なしですね)書くんですから廃刊して良かったかもですね。
……てことで、俺は(世代的にはもろにぴあの世代ですが)ほとんどぴあに思い入れがないんですよ。音楽情報誌とも思っていなかったし、立ち読みで映画の時間を見るくらいだったかなあ。
及川正通の特徴的な表紙は、俺は「ライトミュージック」の方が印象的でこちらの方が想い出深いですね。
長いです、長くなりました。また、ゆっくりと。 Like
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なかしゃん(呼び捨て御免)
初めまして。当方も四十四歳の音楽ファンです。
やっちゃいましたね。訂正出来ない最終号で(笑)。あはは検索で出て来ちゃいましたか。
まぁボーイ・ジョージは意識してか無意識のうちにか、マーク・ボランとスティーヴィー・ワンダーを融合させていたのだとは思いますが。
音楽ネタを中心につらつらと書いております。又いらして下さい。
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逗子王様
御久し振りです。
もう、笑っちゃいました。同じ八十年代半ばならジュラン・ジュラン(デュラン・デュラン)やドクター&ザ・メディックス、或いは精神的には(刹那的な感じが)フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド辺りの方がグラムっぽかったかも知れませんが、いずれにしてもあれはおかしい。
捏造は我々で止めましょう(笑)というより、まぁ狭義では音楽誌ではありませんし、大丈夫でしょう。
再評価という名の初の好評価って基本的には捏造ですよね。当時はそんな扱いでは無かった、という事ですから。
アポロでスティーヴィー・ワンダーと共演するボーイ・ジョージ。同じライヴでジョージ・マイクル、ロッド・ステワート(ギターはナイル・ロジャーズなんです)も出ています。「八十年代にモータウンの魂を一番大事にしてくれていたのは英国人だ」と遠回しに問題提起をしていますね。
あれ?これも捏造みたいな拡大解釈ですかね?
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