２００９年３月１０日の日記。
（翌日、湘南ビーチFMウェブサイトのトップ頁に掲載）
ビル･ブルフォード（ブラッフォード）というドラマーが居る。
六十年代末にイエスのメンバーとしてデビュー、キング･クリムズン（クリムゾン）（七十年代〜九十年代）、ジェネシスのサポート、ソロやリーダー･バンド（※）の傍ら、U.K.、アンダスン（アンダーソン）･ブルフォード･ウェイクマン･ハウ〜イエス（八人編成期）等にも参加する、僕の大好きな英国ロックの知的（しかも実は痴的！［※２］）な部分を象徴する人物だ。
彼がライヴ活動からの引退を発表したのは一月の末のこと。「引退絶対反対！」という、僕が言ってもどうにもならないテーマで（笑）、二月半ばに番組を放送した所、有難い事に数日後リスナーより E-メイル が届いた。とても似た好みの彼のファンだ（大体、彼のファンの好みは似た様なものだが）。その文中にあったジェネシスの曲へのアンコール･リクエストが切っ掛けで、紹介し切れなかった曲や、他の回、他の番組の補遺も兼ねた番組を今夜はお送りした。よって五目味。
ミス、上手く行かなかった進行や構成への反省、選曲の不備、発言への後悔を毎回毎回、雪だるま式に抱えている。それを次回の番組への活力に何とか転化させつつ、我々は「次回」へと向かう。「次はもっと良く」「次こそはちゃんと」という想いは、きっと永遠に続く。ずっと「出来る筈なのに出来ない完璧な番組」を目指して、スタッフ一同、日々研鑽を重ねている。まぁ人生全般に言える事なのだろうけれど。
何やらシリアスになってしまいましたが、それが楽しいのですよ（笑）。只今スタッフ募集中。我々の仲間に貴方もなりませんか？
補遺
（※）
ブルフォード
Bruford
ビル･ブルフォーズ･アースワークス
Bill Bruford’s Earthworks
パトリック・モラッツ（モラーツ）＝ビル･ブルフォード
Patrick Moraz･Bill Bruford
（モラッツも元イエスだが、参加期間は重なっていない）
ブルフォード･レヴィン･アッパー･イクストリミティーズ
Bruford Levin Upper Extremities（B.L.U.E.）
がある。
又、ブルフォードのべイシストであったジェフ･バーリンと二人で、渡辺香津美の『ザ･スパイス･オヴ･ライフ』『ザ･スパイス･オヴ･ライフ II』にも参加している。モロに『ディシプリン』期のクリムズンを感じさせるものも多く、これもオススめ。
（※２）
○ジェネシスをサポートしていた時のライヴ映像 (フィルム収録され英国では劇場公開された。DVDも出ている) や写真を見ると、「マルに B」というだけの、オトナとは思えないダッサダサのTシャツを着て平然と舞台に立っている。
○テクニカルな印象の強いプログレッシヴ･ロックというジャンルのトップ･ドラマーというせいもあり、技巧派という風に見られがちだが、実は良く間違える（笑）。
リズムは良く揺れるし（クリムズンがインプロヴィゼイション重視だった事も関係はしているのだろうけれど）、例えば ’84年のクリムズン来日公演（当時FMで放送された）では一拍ずれている箇所が確認出来る（歌に入る直前で気付いて直すというスリル！）。
インタヴューでドラミングに関する小難しい事を散々語った後で「まぁわからなくなっちゃったら『ロール』すれば良いんだ（笑）」とオチをつけていた事が有ったのを思い出した。
○考えてみれば、あれ程に狂気寸前の音楽を奏でているにも関わらずあのポーカー･フェイスはおかしい。
複雑怪奇なパターンを、事務処理を淡々とこなしているかの様に演奏するというスタイルは、ラッシュのニール･パートが引き継いでいる。
ラッシュはベイスもかなりクリス･スクワイアな訳で。
彼のライヴ活動引退発表に際しての拙文はこちら。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09. (音楽紹介業)
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