ボン・ジョーヴィが新作を出している。
ふとラジオから流れてきた今度の曲は、何だかトム・ペティみたいだなぁと思った。
ジョン・ボン・ジョーヴィは、’97年のセカンド・ソロ・アルバム『ディスティネイション・エニウェア』時に「トム・ペティみたいにやりたい」という事から、デイヴィッド・A.ステワート(スチュワート)をプロデューサーとして招いている(ステワートはトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの『サザーン・アクセンツ』に二曲でプロデューサーとして参加)。
ボン・ジョーヴィはよく「ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの代表格」的な位置付けをされがちだが(※)、確かに最初期にはそのイメッジを利用していたと思われる部分はあるものの、最初から広義での「ロックン・ロール」を志向しているグループだった。
四枚目『ニュー・ジャーズィー(ジャージー)』は、タイトルからしてモロにブルース・スプリングスティーンを連想させた。この頃からレザー・パンツよりもデニムの似合う音になっていると思う。
「キープ・ザ・フェイス」等での、ダンス・ビートを貪欲に取り入れる姿勢はエアロスミスの様でもあり、U2の様でもある(U2程の極端な振れ幅は持たないものの)。
以前、本ブログでも触れたが、彼等を僕の好きな「アメリカ東海岸のイタリア系アメリカ人が作るロック」の系譜に組み込む事も可能。
ジョンの歳上の従兄弟トニー・ボンジオーヴィはNYザ・パワー・ステイョン・ステューディオのエンジニアだった。最初からスタジオ慣れしたバンドだった訳だ。
良くも悪くも(と敢えて書いてしまうが)、スタジオの使い方に長けた、整合感の有る、或いはまとまりの良過ぎるロックを作り続けている。
僕は彼等の熱心なリスナーでは無いのだけれど、それなりに洋楽生活者をやっていると自然と耳に入ってくる、そういう知名度を保ち続けているのには感服する。「何だかんだ言っても良いよね」という同年代の友人も多い。熱心な洋楽ファンではなくなった面々からも聞かれる。
良い意味で敷居が低いのだろう。
彼等の様な「洋楽ファンへの入り口として存在する、洋楽だからこその格好良さを持ったアイドル・ロック・バンド」は常に必要だと思う。洋楽ファン以外への知名度の高さは半端では無い。クイーンやチープ・トリック、ミスター・ビッグ等が数年で降りたその座を、驚くべき事に彼等は四半世紀に亙りキープし続けている。
ウィットニー(ホイットニー)・ヒューストン、マライア・キャリーの復活そしてボン・ジョーヴィの健在は、四十代の洋楽ファンとして本当に嬉しい。
一種の広告塔的な役割として、彼等の様な存在は洋楽マーケットにとって必要だからだ。
(※)現に、現在これを書いている時点での「バーン!!」誌の表紙はジョン、特集は彼等である。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09. (音楽紹介業)
コメント
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あ、そうか。トム・ペティか。
僕もラジオでこの新作を聴いた時、何かに似た雰囲気だなあと思ったんです。
空耳がひとつあったので、タモリ倶楽部に送りました(笑)
ボン・ジョヴィはハードロックやヘビメタの代表格とされつつも、
詞は以前からスプリングスティーンやトム・ペティ的な部分も多かったですよね。 Like
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GAKUちゃん
本文で書き忘れてたけど、声の嗄れ方が「っぽい」と思ったな、先ず。
一回しか、しかも一部しか聴いてないから気のせい(ペティ贔屓である僕の思い込み)かも知れないんだけどね。
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