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603 ザ・ナックのダグ・ファイガー死去。 | GOOD TIMES | グッドタイムズ

603 ザ・ナックのダグ・ファイガー死去。

The Knack ザ・ナックのリーダー、
Doug Fieger ダグ・ファイガー(フィーガー)が亡くなった。
二月十四日。享年五十七。脳腫瘍と肺癌。
この数年は肺癌や肺気腫の治療を受け乍らの音楽活動だったのだという。

こちらはCDジャーナル誌のウェブサイト。

 昨年の僕の担当番組「バック・トゥ・ザ・セヴンティーズ」は彼等の「マイ・シャローナ」の御陰で大いに盛り上がったと言っても過言ではない。その位、リスナーからのE-メイルはこの曲に対する反応が圧倒的に多かった。
 昨日の番組でも『MJの「ロック・ウィズ・ユー」が五週間第一位という長期の君臨から落ちたが、これは前年(1979年)の「マイ・シャローナ」が達成した六週間第一位以来』と話題にした。

 昨年夏、「マイ・シャローナ」がトップ10入りした週のチャートを紹介した時のブログはこちら。
 同じく秋、番組でデビュー・アルバム『ゲット・ザ・ナック』を紹介した時はこちら。彼等は一発屋では無いと書いた。リアル・タイムで熱狂的に聴いた身としては、この意見(誤解)にはどうしても感情的になってしまう。

 「マイ・シャローナ」の頃、僕は中学一年生だった。
 僕の人生がFM一色・ほぼ洋楽一色になった最初の年と言える自分の中一時代を思い出す時、そうなった原因として浮かぶ曲の一つだ。
 勿論多くの曲が浮かぶけれど、特に当時は知り合いではなく、その後知りあった人と当時の洋楽話を共有する時、真っ先に出て「そうそう!」と盛り上がるのは何と言っても「マイ・シャローナ」だ。
 「おしゃれフリーク」「ホット・スタッフ」「グッド・タイムズ」「アイム・セクシー」「ブーギー・ワンダーランド」「恋のサバイバル」・・・何故か他に浮かぶのはディスコものばかりだけれど、否、だからこそだろうか、活きの良い新人ロック・バンドでいきなり大ヒット、各誌・各番組の年間チャートでも軒並み第一位と言えた「マイ・シャローナ」は目立った。

 上掲のアルバム・カヴァーでも明らかだが、ファイガーはザ・ナックのフロント・マン。
 リーダー。シンガーでソングライター(他メンバーとの共作も含めるとほぼ全曲)。

 ザ・ナックは三枚のアルバムを残して解散、その後再結成している。その際にドラマーは不参加、それを「ボジオ君」こと、かのテクニシャン、テリー・ボズィオ(ボジオ)やパット・トーピー(ミスター・ビッグ)といったテクニシャンが埋めている時期もある。
 余りにもユニゾン過ぎるだの、ギター・ソロが冗長であるだのと色々と言われるけれど、結構バンドマン受けが良いのだ。確かに演奏する(或いはした気分になる)ととても気持ちが良い。

 出来るか、それとも簡単か等という「難易度」での評価を超えた一曲なのだ。

THE KNACK albums
1979 Get the Knack
1980 . . . But the Little Girls Understand
1981 Round Trip
1991 Serious Fun
1998 Zoom
2001 Normal as the Next Guy
2001 Live from the Rock’n Roll Funhouse

 今回知ったのだが、最後のライヴ・アルバムはDVDも出ている。

ザ・ナックのオリジナル・メンバーは四人。
Doug Fieger (gu.,vo.)
Berton Averre (gu.,cho.)
Prescott Niles (ba.,cho.)
Bruce Gary (dr.)

 再結成に参加しなかったドラマーのブルース・ギャリー(ゲイリー)は2006年に五十五歳で死去している。死因は非ホジキンリンパ腫。

 今回知ったが、スタジオでの録音のみという事だが、彼の死の前年には、バッドフィンガーのトゥリビュート・アルバム(ザ・ナックらしいね!)へ参加する為、彼を含む再結成が実現している。

 これも今回調べて知ったのだが、ギャリーはプロデューサーになっていたという。何とジミ・ヘンドリクスの発掘音源(※)、ザ・ヴェンチャーズの新録等を担当。又、ザ・ナック以前、七十年代よりジャック・ブルース、ミック・テイラー、ドクター・ジョン等との共演歴を持ち、ザ・ナック以降もボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン(ハリソン)といった面々のライヴに参加しているという。

 ・・・とまぁ、色々と書いたが、勿論ザ・ナックと言えばどうしたって「マイ・シャローナ」である。

○冒頭が♪お〜まえの耳は 耳は お〜まえの耳はぁ♪と来るので「ロバの耳!」とツッコむのを常としていた友人(先輩、当時高校生)が居る。
(実際は ‘Oh my little pretty one’)

○プロモウション・ヴィディオでのファイガーのアクションや表情は賛否両論、エンディングの息遣い(と共にカメラも寄る!)もかなりの賛両論(笑)。

○そのエンディング、息遣いが荒くなりそして最後に
♪ん〜
  ん〜
   お〜(ハモり)
    ン毎週やろうな〜ッ♪(小林克也)

○八十年代の末、即ち彼等が一番馬鹿にされていた時代に、現在も活動を続けるスパークス・ゴー・ゴ−の前身であるビー・モダン(ほぼ同年代)がシングルB面で「マイ・シャローナ」をカヴァー(完コピ!)していた(※2)。僕はその勇気に拍手した。

 大体、その「一発」を出せずに終わるミュージシャンが99パーセントであって、一曲でも知られた曲を持つのは、それはそれは凄い事なのだと馬鹿にせず評価して(※3)、ひたすら愛でよう。
 一位やトップ10はおろか、全米の上位百曲に一週だけでもランク・インする事が、どれだけ凄い事なのかを想像した上で、馬鹿にする方はして下さい。

 大変残念な事に、解散前の三枚は大学生の頃に買ってかなり愛聴していたのだが、その後手放してしまった。ファーストとセカンドは買い直したがサード(結構良かったと記憶している)は見掛けないまま現在に至っている。ドン・ウォズがプロデューサーの佳作『シリアス・ファン』とボジオ君参加の好盤『ズーム』は買ったが家の中で行方不明・・・。

 追悼番組、さてどうしようか。

(※)音源管理の権利がエクスペリエンス・ヘンドリクスに移る前の、『ブルーズ』を含むアラン・ダグラスが関わった編集盤にクレジットされているというが、僕は持っていないので未確認。

(※2)ビー・モダンは、ライヴでチープ・トリックの「サレンダー」を演ったりしていた。キッスでロックに目覚めたというドラマーはやたらと手を上げていた(笑)。オリジナル・ソングはザ・ジャムやU2っぽかった。でも如何せんファンが洋楽知らずの女子ばかり(バンド・ブーム初期)。「マイ・シャローナ」も含め、彼等の本質とも言えたそれらへの反応は鈍かった。

(※3)丁度TVでオリンピックを中継している。何が「メダルが獲れなくて残念」だよ、そこのアナウンサー。ナニサマだよ。
 ・・・流石に脱線し過ぎなので、これに就いては別の回として触れる。
 
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’10. (音楽紹介業)

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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訃報、悲報
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コメント

  1. 逗子王様 より:

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    いや、驚きました、
    もちろん訃報にですが、それよりも昨日チラリとお目にかかった時に、「今日はこれを」とお見せしたRecofanの袋の中に、まさに「ゲット ザ ナック」が入っていたんです。(人見さんは、リーリトナーのジャケをご覧になったと思いますが)
    いやあ、恐ろしい偶然の集積と言いますか、人見さんとお会いしたのも偶然ですが,そこでお見せしようとしたのがこのアルバムだったとは。

    ここ数日妙にナックが聞きたくて、昨日渋谷に出た時にRecofanで真っ先に探したんですよ。
    故人には悪いけど「380円」、いや一緒に買ったグランドファンクの「アメリカンバンド」も380円だし、リーリトナーに至っては「100円」ですから……

    渋谷にはまだ三枚の「ゲットザナック」のLPがあります。ああ、99年に出た「ボッジオ」参加のアルバム(こちらはCD)も買っておけば良かった。

    てなことで、またゆっくりとお茶しましょう。よろしくです。 Like

  2. hitmezanmai より:

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    逗子王様
     聴きたくなっていましたか。そういう風に「呼んでいる」事って、確かに有ります。JBが亡くなる時、夢に彼が出て来たという友人が居ました。携帯電話の着メロをJBに変えたばかりという友人も居ました。僕も「久々に番組でかけようかな」と思っていました。
     所で『ゲット・ザ・ナック』380円は高いのでは?(笑) 値が上がりましたかね? 昨日のレコファン渋谷店には四枚有ったのですね? コンディションを確認して厳選された、と。
     僕のLPは日本盤帯有りライナー無しで、確か友人からコピーしてもらったのですがそのコピーが行方不明・・・。

     御無沙汰しちゃってますね。近いうちに御会いしましょう。
     最近、久里浜エクセルシオールの位置が少し横にスライドしましたよ(笑)。
    人見 Like

  3. 隆史 より:

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    嗚呼、私も驚愕しました、ダグの訃報に!

    人見さんが先日「Back to the 70's」で、「ザ・ナックは決してone hit wonderなんかではないっ! 少なくともthree hits wonderなんだから!!」と力説して彼らを擁護していたときに、私もラジオの前で大きくうなずいていた一人です。
    私の中ではキース・ムーンの死と同格の凶報です。
    今夜帰宅したら、慟哭しながらGet the Knackを聴きます。
    人見さん、来月のジャズでお会いしたら、二人で1分間の黙祷をダグに捧げましょうよ。
    Like

  4. hit2japan より:

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    隆史さん
     いやいや、別に「擁護」だなんて、そんな大層な事ではありませんよ。只、単に揚げ足をとってイヤらしく喜んでいるだけです。共感して頂けたのは何よりでとても嬉しいです。
     キース・ムーンの死と同格ですか。キースは三十一歳での夭折、キャリア半ばという感じでしたから・・・、いえいえ、人の命に軽重は有りませんね。でもそれぞれの役割は有ると思います。その意味では、ダグはその歴史的な役割をかなり果たした上での逝去という気がします。まぁ本人はもっと歴史に名を残したかったでしょうけどね。
     いずれにしても、追悼の選曲、どうしましょう・・・
    人見 Like

  5. Taro より:

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    いや、びっくりしたよ。この記事で知った。
    やっぱ、ショックだったね。
    ブログにちょっと書いた↑。

    ひょっとして、そのサードアルバムは、俺のとこにあるやつじゃないか?
    赤いジャケットのやつ。ウチにあるぞ。
    人見に譲ってもらったような、ないような。。。w
    いま見たら、サードアルバムのプロデューサーは、ジャック・ダグラス。
    ハードでファンキーないい音してるよ。

    ボジオの叩いてるアルバムも聴いてみたいなー。

    Like

  6. hit2japan より:

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    PASS:
    Taro
     そうか! 君の所に在るのか、『ラウンド・トリップ』。ザ・ナック三部作(笑)、そう言えばあげたかも知れない。
     そう、プロデューサーはジャック・ダグラスなんだよ。彼のプロデュース作だと、エアロスミスの『Rock in a Hard Place (美獣乱舞)』と同じ年。
     貸して貸して!
    人見 Like

  7. 逗子王様 より:

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    そうそう、渋谷のレコファンの四枚あった「ゲットザナック」は全て国内盤。一枚は人見さんのアルバムと同じ「来日帯付き」。これが980円。あとは全部帯なしで,一番安いのが380円で,これをゲット。
    ただし,盤質はえらく奇麗で、聞いてねえな,ほとんど(笑)
    でも良いアルバムだ。ヘビーローテーションになりそうですよ。

    で、中にはちゃんとライナーノーツが入っていて、何かそうそうたる面々がコメントを寄せている(渋谷陽一も)んですねえ。
    こちらコピーと言わず差し上げますので(コピーは俺がいただきます)、今度お会いした時にでも。

    しかし、結構良い音でCD-Rに焼けました。380円,レコファンでは安くはないけど、中身から考えれば安い安い。
    ちなみに、先日レコファンでは「嘆きのインディアン」のパクリ(と俺が決めている)五木ひろしの「待っている女」の入ったアルバム(ベスト)をゲット。100円でした。
    「待っている女」、パクりどころか、ほぼ同じ(笑)素晴らしいですね,あの頃(70年代初期)の歌謡曲のパワーは。 Like

  8. hit2japan より:

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    逗子王様
     文面は忘れましたが渋谷陽一のライナーもあったのは憶えています。プレゼントだなんてそんなそんな。
     へぇ。「嘆きのインディアン」と五木ひろしは知りませんでした。ラス・ヴェガスで「キープ・ミー・ハンギング・オン」(しかもヴァニラ・ファッジ・ヴァージョン)を歌ったり、その後TVでケニー・ロジャーズの「レイディ」を歌っていたのは憶えています(盤になっているのでしょうか?)が、矢張りあなどれませんね。
     彼や森 進一、その後の石川さゆり、森 昌子といった頃迄の面々は、「演歌」というジャンルに閉じこめられてしまった「歌謡歌手」だと思っています。
     SAYURI名義での「ウイスキーは、お好きでしょ」を提供した杉 真理は和製ジュリー・ロンドンを意識したと話していました。

     「ヘヴィ・メタル」に入れられちゃってる本格ブルーズ・ロック・バンドや「ダンスもの」の一人に括られちゃったポピュラー・ヴォーカリスト等、ジャンルは難しいですよね。
     もしかしたらロッドも昔から「ロック・シンガー」というより最新を取り入れる事に長けた単なる「流行歌手」だったのかも知れませんし。
    人見 Like

  9. GAKU より:

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    ビー・モダンは4人中3人が人見君と僕と同学年(1人は1つ上)。
    なので聴いてきた洋楽が同じなんでしょうね。
    スパゴーになってからも「EASY」という洋楽カバーだけのミニアルバムを出しています。
    1.Scream
    2.Wild Thing
    3.I Can See For Miles
    4.Crosstown Traffic
    5.Have You Ever Seen The Rain
    6.Sookie Sookie
    7.Girls Talk

    ビー・モダンの惜しかったところは、人見君が書いているように、
    ファンが女の子ばかりでバンドの本質が伝わりにくかったことと、
    ボーカリストよりもベーシストの方が歌が上手かったことでしょうか。 Like

  10. hit2japan より:

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    PASS:
    GAKUちゃん
     「サレンダー」も八熊慎一が歌ってた。
     僕の場合、彼等の最も惜しかった所は、「ヴォーカリストが奥田民生でも阿部Bでもなかった」事だね(笑)。
    人見 Like

  11. GAKU より:

    SECRET: 0
    PASS:
    ビーモダンとスパゴーの間に一時期やってた
    BAND HAS NO NAMEは、スパゴーの3人+民生だったけど、
    あの時、民生は本当にそのまま正式メンバーになりたかったんだって。
    だけどユニコーンの契約の関係でそうはできなかったそうです。
    スパゴー+民生のBAND HAS NO NAMEが正式に動き出していたら、
    お互いのその後は大きく変わっただろうね。
    Like

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