Ali Ollie Woodson
アリ・オリー・ウッドゥスン(アリー・オリー・ウッドソン)
が亡くなった。
五月三十日。享年五十八。この数年、白血病で闘病中だったそうだ。
(六月十五日加筆:
吉岡正晴氏のブログに、五日にあった彼の葬儀の模様が掲載されている。)
こちらは彼のオフィシャル・ウェブサイト。
こちらは吉岡正晴氏のブログ。
こちらは、八年前のソロ・アルバム「ライト・ヒア・オール・アロング」に就いて書いた拙文(湘南ビーチFMに当時リレー掲載していた「DJおススめアルバム」コーナーにて)。
ソウル・ファンに対して最も具体的な紹介をするのであれば、「The Temptations ザ・テンプテイションズ(テンプテーションズ、以下テンプス) “Treat Her Like a Lady” のリードを担当した彼」という事になるだろう。
リード担当というだけでなく、曲の共作者でもある。
その曲を含む1984年のアルバム『Truly for You』から1997年迄、彼はテンプスに在籍(一時前任者のデニス・エドワーズが復帰した為にその座を譲っているが)、六十年代の「デイヴィッド・ラフィン&エディ・ケンドリックス期」、七十年代の「デニス・エドワーズ期」と並ぶ八十年代から九十年代の「アリ・オリー・ウッドゥスン期」の主役だ。
L to R:
Ali Ollie Woodson
Otis Williams
Richard Street
Melvin Franklin
Ron Tyson
彼の在籍期の代表的なラインナップ。僕にとってのリアル・タイム・テンプスのベスト・メンバーがこの五人。八十年代に十代だった方ならば賛同して下さる方も多いのではないだろうか。
テンプス脱退後はソロとなり、何やら「元テンプスの集まる場」と化している「ザ・テンプテイションズ・リヴュー・フィーチャリング・デニス・エドワーズ」に参加したりもしていた。今回調べていて知ったのだが、一昨年はアリーサ(アレサ)・フランクリンとトゥアーをしたという。
ここ数回のソロとしての来日がアナウンスされては中止となり、実は昨年、事情を知る方から「体調は本当にかなり悪いらしい」という話も聞いていた(※)ので心配はしていたけれど・・・。
でも覚悟は出来ていなかった。
僕の世代のソウル/ファンク・ファンにとって、リアル・タイムで聴いたテンプスはアリ・オリー・イヤーズだ。そういう要素も大きく関係して、彼への思い入れは他の世代よりも強いと思う。特に女性は。
ハンサムなんだもの、当たり前。そういう要素は大事。
僕個人にとっても、彼は特別な人だ。極めて個人的な理由で。
彼は ‘My name is HIT ME.’ と言ってサインをねだった黒人の中で、初めて大ウケしてくれた人なのだ。
‘HIT ME! Ha Haaa!
James Brown’s favourite groove!!’
そう言って他のメンバーに ‘His name is Hit Me!’ とわざわざ紹介してくれた程に。
九十年前後にテンプスは何度も来日しており、僕はその度に数回ずつ通った。ある時は、曲終わりの御辞儀中に客席に居る僕にいきなり目を合もせてパンチ(hit you) する仕草をして「(Hit Me!)」とオフ・マイクで口を動かしニヤリ(完全にこれ↓と同じ、色っぽいというかイタズラ小僧というか、そんな目つきで!)、
‘To Hit me my man Ali Temps’
その次の歌い出しで ‘Hit Me!!’ とシャウトした。
その後もムーディなスロウ・ナンバーの最中に「Hit Me… Ha Ha」と呟き、他のメンバーに「何だ何だ?!」という表情で睨まれる、という事をした。
近くに居た女性(当然、アリオリLoveで、おメメがハート・マークの)に「アリオリと知り合いなんですか〜?!」と訊かれる程、それはあけすけな仕草だった(笑)。
その女性の質問にどう答えたのかは(都合良く)忘れた。
1980年のテンプスのヒット・シングル「パワー」(彼が加入する前の曲)を先週の「Back to the ’80s」でかけたばかり。その時に使用したボックス・セット “Emperors of Soul” のライナーをここ数週間よく読んでいた所だった。特に(オン・エアを念頭に置いて)七十年代末から八十年代の部分を。アリ→加入→脱退(解雇)→再加入というストーリーが、短い乍らも書かれている。
‘To HiT me One Love Ali Woodson Temps 2001’
デトロイト生まれ。六十年代には、デイヴィッド・ラフィンがオートバイで家を出ているのを見にわざわざ出向く様な子供だったという。そんな彼がそれから約二十年後にその後継者(間にデニス・エドワーズ他を挟んで)としてグループに加入となったのだから、その嬉しさは格別であっただろう。
又、彼は、テンプスに加入する前は Harold Melvin & The Blue Notes ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノウツ(ノーツ)のリード・シンガーだった。つまりテディ・ペンダグラスの後継。
ザ・ブルー・ノウツはテディそしてアリと、往年のリード・シンガーを半年も経たぬうち立て続けに失った事になる。僕の番組でつい四十日前に行ったテディ追悼でもそれに就いて触れ、’Treat Her Like a Lady’ をかけたばかりだ (M20)。
尚、不幸にもテンプスは物故者の多いグループとして知られる。全盛期とされる「マイ・ガール」期の五人中、何と四人が既に没している。不幸中の幸いと言えるのは、その唯一の生存者がリーダーであるオーティス・ウィリアムズであるという事だ。グループは継続している。
THE TEMPTATIONS albums
featuring ALI OLLIE WOODSON:
1983 BACK TO BASICS (一曲のみ)
1984 TRULY FOR YOU
1985 TOUCH ME
1986 TO BE CONTINUED . . .
1989 SPECIAL
1991 MILESTONE
1995 FOR LOVERS ONLY
2004 LEGACY (未確認。脱退後なので、作曲か?)
ALI OLLIE WOODSON:
2002 RIGHT HERE ALL ALONG
(以降加筆予定)
‘To HiT me Bless you Love Ali Temps’
今夜 (6/1) の番組「スターライト・クルージン」は、急遽アリ・オリー・ウッドゥスンとリトル・べニー追悼として、彼等の遺した素晴らしい音楽をフィーチュアします。
二人の訃報を教えてくれた、長年のソウル/ファンク仲間であるあずさちゃん、どうも有難う。
(※)「体調不良」による来日中止の本当の理由が、チケットの売れ行
き不振である、という事は少なくない。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’10. (音楽紹介業)
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