【ネタばれ御免】
NILE RODGERS and the CHIC Organization
Japan tour 2011
NILE RODGERS (vo)
&
KIMBERLY DAVIS (vo)
FOLAMI (vo)
JERRY BARNES (ba,cho)
RALPH ROLLE (ds,vo)
RICHARD HILTON (key, cho)
SELAN LERNER (key, cho)
BILL HOLLOMAN (sax)
STEVE JANKOWSKI (tp)
2011年の来日公演、昨晩、無事初日を終えました。優しい空気に包まれた大変感慨深い公演でした。
おそらくセット・リストに大きな変更は無いと思われますので、重複を避け、楽曲解説をこちらに独立させました。
二日目以降、追加曲やトピックが加われば加筆します。
→しました。二日目に新曲「アイ・ウォナ・ダンス」が初披露されました。
(尚、昨年執筆したものを底本としています。御了承下さい。)
※以下、公演終了前は、いわゆる「ネタばれ」に相当する内容です。御注意下さい。
all songs are written and originally produced by
NILE RODGERS AND BERNARD EDWARDS
except:
DANCE, DANCE, DANCE (Yowsah, Yowsah, Yowsah)
written and produced by Rodgers, Edwards and Kenny Lehman
SUKIYAKI
music by Hachidai Nakamura
/by Kyu Sakamoto (original)
Japanese words by Rokusuke Ei
/by A Taste of Honey
English lyrics by Buz Carson
produced by George Duke
LIKE A VIRGIN
written by Billy Steinberg, Tom Kelly
produced by Nile Rodgers
I WANNA DANCE
written by Ronald Khalis Bell, Nile Rodgers, M.Cousins, Bryan Abrams and H.Bell
produced by Ronald Khalis Bell and Nile Rodgers
LET’S DANCE
written by David Bowie
produced by Davide Bowie and Nile Rodgers
LADY
RAPPER’S DELIGHT
introduction MC:
1997(99?)年以降御馴染みの、ナイル・ロジャーズ本人による自画自賛(笑)呼び込み。確か2003年以降は短縮ヴァージョンとなっている。昨年同様、ファーストのみ使用。
Open Up:
ファースト・ショウの一曲目は、名盤(個人的には最高傑作だと思っている)である四枚目『Real People』の冒頭を飾るインストゥルメンタル・ナンバー。新バンドでは2007の来日時よりレパートリーとなっている。シークのピークと思われる’79~ ’80年の充実を物語る名曲・名演を現在のメンバーで演奏する気になったという、ナイルのメンバーへの信頼感はかなりのものとなったのだと思う。
Hangin’:
昨年の公演から取り入れている楽しい演出は今年も。ホーン・セクション二名を先頭として、他のメンバーはカウベルやタンブリン等を持ち、演奏をし乍ら場内を練り歩くのだ!
スライ&ザ・ファミリー・ストーン、グレアム(グラハム)・セントラル・ステイションが鼓笛隊と化して場内から舞台へ上がるのを思い出させる楽しい演出。
そしてそれをこの曲(決して大ヒット曲ではないので、つまりこれも重箱系ファン好み)で行うのだから、フリーク必殺である。
Everybody Dance:
セカンド・シングルだが、シークとして作った曲はこれが最初だそうだ。それもあって、ライヴでも冒頭数曲で演奏したくなる一曲なのだろう。
12インチ・ミックスでだけ聴ける間奏の「ブレイク・ダウン」部=クラヴィネットの目立つ部分が追加。セラーン・ラーナー、リチャード・ヒルトンのパカッシヴなキーボードとギターの絡みが格好良い。
この曲も含めて、定番曲曲の多くにも、リズム・パターンを一部変えたりブレイクを作る等、細かいリアレインジが施されている。
Dance, Dance, Dance (Yowsah, Yowsah, Yowsah):
記念すべきデビュー・シングル。歌は基本的にはユニゾン。
「ヨウザ ヨウザ ヨウザ!」の三回目のタイミングが変わった。
Sukiyaki~I Want Your Love:
セラーンとキムを紹介し、その二人だけによる「スキヤーキ」をイントロダクションとしてワン・コーラス。
「上を向いて歩こう」が、1980年にア・テイスト・オヴ・ハニーが発表(翌年にヒット)した英詞で、正しいソウル・マナーに則り、かなりメロディを崩した形で歌われる。英詞迄は直ぐに出て来ない我々日本人なので、途中か終わりの頃に「ああ、これは九ちゃんの」と気付く方が多いと思われ、途中で拍手が起こる。
途中で唐突にに挿入される Sly&The Family Stone ‘I Want to Take You Higher’ の一節~サンターナ的なラテン・アレインジメント、そしてそのラテン・パートにトランペット・ソロが乗るという展開も継続。
I’m Coming Out
~Upside Down
~He’s the Greatest Dancer
~We Are Family
これも今世紀の彼等の定番であるメドリー。二年振りに来日メンバーとなったフォラーミが改めてが紹介される。
Soup for One~Lady (Hear Me Tonight):
昨年初演されたメドリーは好評だったとみえ、今年も演奏されている。
後半に挿入される「レイディ」は2000年に発表された曲で、「スープ…」のギター・パートがサンプリングされているもの。欧州では大ヒットした曲だそうで、向こうでこのメドリーを披露すると、この「レイディ」に変わった瞬間の客席のどよめきが凄い(ユー・チューブで確認出来る)。
Like a Virgin:
昨年に引き続き。前者はフォラーミが。
Chic Cheer~My Forbidden Love:
基本的には以前の継続。後者は特に大好きなので嬉しい事この上無し。
Thinking of You:
昨年は「気分が乗ると増える一曲」だったが、今回は予定に組み込まれている。
このイントロの時点で訪れる幸福感は一体何なのだろう。
I Wanna Dance
期待されていた新曲披露は来日二日目となるブルー・ノート東京初日に実行された。
日本編集盤『エヴリバディ・ダンス!』に収録されている新曲(つまりまだ日本でのみの発売)で、クール&ザ・ギャングとの共演曲。
この日のリハーサルで初めてバンドとしての音合わせが行われている。リハーサルは殆んどこの一曲のみだったと言って良い程の集中度で編曲が固められた。レコーディングに参加していたのはナイル、リチャード・ヒルトン(彼はエンジニアでもあったので曲の細部も把握している)、キム・デイヴィス、ラルフ・ロール、ビル・ホロマン。ナイルとリッチ以外の三人は音入れ・歌入れをしただけなので曲の構成(譜割り)がどうなったか迄は把握していないし、他のメンバーは憶えるしかない。
特にクール&ザ・ギャングと言えばロバート “クール” ベルという事で、ベイシスト=ジェリー・バーンズの真剣な表情はリハーサルに立ち会っているこちらも緊張する程。このバンドでは、彼は、他の曲でもバナード・エドワーズの代役という大役をずっと背負って来ている(ジェリーが自らそれを覚悟してナイルに「シークを続けよう」と進言したのだ)。ソロ活動、プロデューサー/ソングライター活動も行って来ている彼が、自分をかなり殺してまでしてシークに貢献してくれているのには本当に頭が下がる。
果たして細かい合わせやエンディング(フェイド・アウトする曲なので)を決めて、実は一時はこの日の披露は見合わせる様な流れにもなっていたが、リハーサル終了の時点で同日の披露を決意していた。楽屋に戻るなり曲順表を見て「何処に入れるか、そしてどれを削るか」を検討していた。
余裕の無さが良い意味での緊張感・緊迫感を生み、とてもタイトな初披露だったと思う。勿論、グルーヴは素晴らしかった。ナイルがゴー・サインを出した訳だから其処はクリアしている。
気付いたのは、ダンスにまつわる曲が多いナイル・ロジャーズ作品のちょっとした相違点。
Dance, Dance, Dance (Yowsah, Yowsah, Yowsah)
Everydoby Dance
Le Freak (新しいダンス・スタイルで踊ろうという歌詞)
He’s the Greatest Dancer
Let’s Dance
Do That Dance
I Wanna Dance
「アイ・ウォナ・ダンス」は初めて自分が先に踊る曲だ。他は皆
(や相手)を踊らせる曲、又は一緒に踊ろう、であるのに対して、新曲では自分が真っ先に飛び込む。
作詞作曲が五人の共作名義になっている曲なので、ナイルがどの程度作詞に関わったかは知らない(訊いてみようかな?)。歌詞は過去の曲名のパズルで、何処に何が、合わせて何曲入っているのかを探すのも楽しい。
そういったパズルによって、「継承」し、この所ナイルが強調している、これからも前進するという姿勢を見事に示している。
おそらく深読みだとは思うが、まぁそういう性格だし、それが仕事っちゃあ仕事なので(笑)。
私は今日迄生きてみました
そして今 私は思っています
明日からもこうして生きていくだろうと (「今日までそして明日から」吉田拓郎)
Let’s Dance:
こちらも昨年に引き続き。
マドンナもデイヴィッド・ボウイーも、どんどん変わっていく事を自分に課すタイプなので、これらの曲をオリジナル・アレインジメントに忠実な形で歌い演奏してくれる事は想像しにくい。そう思うと、オリジナル・ギターリストによる「あの音」で、ほぼコピー・ヴァージョンでこれらを聴けるというのはとても嬉しい。
リード・ヴォーカルはドラマーのラルフ・ロール。
「ナイル! みんなギターを弾いたり、俺にも歌わせてくれ」「何を歌う?」「君がインタヴューを受けている間に他のメンバーと合わせた曲が有るんだ」と展開される寸劇(笑)は定番化した模様(笑)。。
途中から、ナイルがリズム・ギターのパートだけでなく、ステューディオ(スタジオ)版で故スティーヴィー・レイ・ヴォーンが担当したリード・ギターも少しなぞり、涙を誘う(いや泣かなくても良いのだけれど)。
イントロのコード感とコーラスが盛り上がっていく所で客席が熱気を帯びてくるのが「見える」。明らかに「見える」それは鳥肌が立つ程。
Le Freak:
Good Times~Rapper’s Delight:
「本編最後」と「最後の最後(アンコール)」は、来日公演でいえば2003年以降不動。シークの全米ナンバー1ヒット二曲である。
昨年同様、「おしゃれフリーク」間奏後にはブレイクが追加されている。
「グッド・タイムズ」エンディング部にサルサ・パートが入るのは今回も継続。
Hangin’ (reprise):
セカンド・ショウの終わりは登場時の逆で、再び鼓笛隊状態となって退場。
去年の来日二日目、本番中にラルフ・ロールが突然閃き、その場で退場を開始したのが始まり。
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