August 29th, 2008. イシイ ポップス・イン・ザ・ボックス
提供:石井食品
vol. 544.
M1
16:03 SUMMERTIME BLUES
Eddie Cochran
M2
16:05 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
Dionne Warwick
M3
16:09 WALK-DON’T RUN
The Ventures
M4
16:11 VENUS
Frankie Avalon
M5
16:14 SWEET SUMMER DAY
Chris Rea
M6
16:18 BLOWIN’ MY MIND
Solo
ミドル4:サム&デイヴ(アイザック・ヘイズ追悼、そしてサム・ムーア来日記念として
M7
16:25 SOUL MAN
M8
16:29 HOLD ON, I’M COKIN’
M9
16:31 WHEN SOMETHING IS WRONG WITH MY BABY
M10
16:34 SOUL SISTER, BROWN SUGAR
Sam & Dave
M11
16:40 SUMMER BREEZE
The Isley Brothers
M12
16:44 SOWING THE SEEDS OF LOVE
Tears for Fears
M13
16:50 SUMMER MADNESS
Kool & The Gang
M14
16:55 ALL SUMMER LONG
The Beach Boys
本ブログは去年の八月最終週の番組紹介から始まっている。つまり今回は二年目突入の回という事になります。
ちなみにその数日後に開始した「人見欣幸のブログ。」もここから一年。
今後も宜しく御願い致します。
「夏のうちに!」という駆け込み需要に御応えして(僕の「来年の夏迄待てない!欲」とも言いますが・・・)、今週は夏の歌を五曲、其処此処にちりばめました。他の曲も、夏っぽいものを選んでみたつもりです。
実の所を申しますと、いち音楽ファンとしては、「季節感」を殆んど考えない人間でして、こういう選曲は頑張らないと出来ないのです(少し恥ずかしくなっちゃうんですねぇ・・・)。クリスマスは例外ですが。
今週は永遠の夏のR&Rクラシックであるエディ・コクランの名曲でスタートしてみました。
ディオンヌ・ワーウィック、特にバート・バカラック=ハル・デイヴィッドが楽曲提供をしていた頃の彼女の曲は「涼しい」気がします。どんなに熱唱していても、彼女の歌声からは、何故か「汗」を感じません。否定的に捉えている訳ではありません。汗と伴わない「熱」が伝わってくる不思議な個性を持っていると思うのです。その意味ではシャーデーの先輩と言えるかも知れません。
ザ・ヴェンチャーズは、扇風機が庶民にとって最先端の冷房器具だった時代の「夏の音楽」なのでしょう。汗をだらだらとかき乍ら聴くのが正しいという気がします。
クリス・レア。特に八十年代半ば以降の彼は、声も音も抑制がきいていて「涼しい」と感じます。其処が「クール」「渋い」という評価につながっているのでしょう。でも実は、きっと彼は熱い熱い、近くに居ると迷惑な程に情熱的に、それらの音を創っているのではないかと僕は思っています。
「ミドル4」は、先日亡くなってしまったアイザック・へイズ追悼そしてサム・ムーアの三年連続の来日を記念して。
ジ・アイズリー(アイズレー)・ブラザーズの「サマー・ブリーズ」とクール&ザ・ギャングの「サマー・マッドネス」は、ソウル/ファンクの世界では定番の夏の曲。やるせない気持ちにさせるのが共通しています。
そして、
「八月の最後はザ・ビーチ・ボーイズ」の最後は矢張りこの曲を。
夏バンドである彼等の数多い夏の歌の中でも最高の一曲でしょう。
「夏」という季節の持つ、
明るさと暗さ
賑やかさと淋しさ
楽しさと切なさ
夢と何かの終わり
そういった様々なものが、このわずか二分の曲に詰め込まれていると思っているのです。
今から二十年程前に、ザ・ビーチ・ボーイズの評価はそれ迄の「オールディーズ代表」的な懐メロバンドとしてのものから「現代R&Rの源流」というものに変わり、高まりました。でもその論調が、どうも、頭でっかちの、理屈っぽいロック/ポップス・マニアが好む、「内紛や荒れた私生活といった暗い物語を持つバンド」という、彼等が生み出した「音楽」ではない部分が中心になっていたのが、僕は凄く嫌でした。
丁度、ブライアン・ウィルスン(ウィルソン)のファースト・ソロ・アルバムの発売という、彼等の波乱万丈の暗い物語に「廃人同然といわれた長兄の復帰」という新章が加わった時の事でした。CDの普及という追い風に乗り、マニアが急速に増え始めていた当時の洋楽業界としては、渡りに船という状況だったのだと思いますが。
遅れてきたマニアの常で、彼等は売れなかった頃の楽曲を持ち上げました。本来の全盛期である「Surfin’ U.S.A.」「California Girls」「I Get Around」といった楽曲は「ベタベタでチャラチャラした恥ずかしい曲」にされてしまったのです。
それから約二十年。オリジナル・アルバムの廉価盤が改めて出ています。デニス・ウィルスンのソロアルバムが二枚組豪華盤になって再発売されました。ブライアン・ウィルスンの新作(しかもキャピトルに復帰!)も出た所です。復活後ではベストとの呼び声も高い一枚になっています。『スマイル』で終わらせるかと思っていたので、以降の彼の活動は嬉しい誤算です。
そして、前述の良くない風潮はいくらか修正された様に思います。
ですが、残念な事に、若年層も含めて「(日本では)洋楽はマニアがメイン・ターゲット」という全体の傾向は更に強くなっています。
これは仕方の無い所なのでしょうか。
「自国のポップスの充実」という取り方をするべきなのでしょうか。
洋楽ファンとしては少々淋しいのです・・・。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)
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