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115 ロバータ・フラックを観に行った。 | GOOD TIMES | グッドタイムズ

115 ロバータ・フラックを観に行った。

 三月七日(今夜)、ロバータ・フラックを観に行って来た。
 於・ビルボードライヴ東京、ファースト・ショウ。

 彼女のライヴを観るのはこれが初めて。シークのメンバーを ’97年から務めている(しかもバナード・エドワーズの後任という大役を、立候補して射止めたそうだ)、ジェリー・バーンズが、(シーク参加以前より)ロバータをサポートしている。ライヴのみならずスタジオ盤でもプロデューサー、ソングライター、プレイヤーとして。日本企画で発表された高橋真梨子の曲をカヴァーしたアルバム『フレンズ』( ’99年)は、ジェリーとカトリースのバーンズ兄妹が全曲の編曲とプロデュースを担当している(※)。
 先月のチャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズに続き、シーク絡みで招待してもらった形だ。

 想像していたよりもジャズ色の濃い内容だったと感じた。まぁ僕が聴いた事の有る彼女のライヴは、ピーボー・ブライスンとの『ライヴ・アンド・モア』だけだったからかも知れない。あれはピーボーを売れっ子にしようという営業臭さプンプンだったからね(嫌いじゃないけど)。
 つまり、ソウル、クロスオーヴァー、フュージョン、ジャズ、ファンク等という、重なる部分の多いジャンル分け(変な表現だが)の中で例えるなら、

シャカ・カーンよりもマーリーナ・ショウやランディ・クロフォードとの共通項を多く感じた

という所だ。

 歌い手とバックという境目は感じられず、しかし手なづけっぷりは見事で(主従関係が見事に伺え)、それなのに各メンバーの自由度は高い。互いに笑顔で目を合わせ、「Yeah!」等と声に出しつつ演奏している。グルーヴがそこに「在る」という感じの一体感が素晴らしい。それを激しい演奏では無く、抑えに抑えたそれで現出させるというのは、かなりの技術と魂が無いと出来ないだろう。メンバーのソロ・パートも多く用意されていた。ジェリー・バーンズはリード・ヴォーカルも披露!

 彼女に近い知り合いに依ると、なんでも今回はTV(WOWOW)収録も有るという事で気合いが違ったそうで、メンバー構成や人選に気を遣って盤石の態勢で臨んでおり、その結果チケット代も若干高めになったという(否定的に捉えている訳では無い)。
 ソロをとり乍らギター・ソロを奏でるブルーズ・マンみたいに彼女がピアノを弾く事が有り、それがやたらと格好良かった。

 日本のライヴ・シーンでは、彼女の曲はむしろジャズ界で多く歌われていると思う。きっと僕は、それに直結するものを遅れ馳せ乍ら実感した、という事でしか無いのだろう。
 彼女は何度となく来日している。多くのジャズ・シンガー、ジャズ・プレイヤーが「こういうライヴを自分も演りたい」と感じ、披露しているのだろう。スティーヴィ・ワンダーと並んで「ジャズ的視点で聴ける・演れるポップス」なのだろう。

 会場では、ジェリー・バーンズのソロ・アルバムが売られていた。ジェリー自ら売店に出向き、サインをしたり、通る客と話したり握手をしたりしていた。ロバータのショウに毎回通う程のファンならば、勿論彼の事は憶えている訳で。
 僕を見るなり、僕よりも先に「人ぉ見さ〜ん」(「と」にアクセント)(※※)と声を掛けてくれたのも嬉しかったなぁ。ホント、素晴らしいミュージシャン(特にサポート歴の長い人)は人柄が素晴らしい。本来、人として当たり前じゃないといけないんだけど、残念乍ら世の中善人ばかりじゃあない。

 勿論、買いましたよ、CD。サインも貰いました。番組でかけますからね。

人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08.

※二人はジューシーとして八十年代活動を共にし、九十年代からソングライター/プロデューサー・コンビとして活動、ロバータやグウェン・ガズリーのアルバムでその名を確認出来る。揃って ’97年にシークに加入、カトリース(キーボード、コーラス、サックス)は2000年頃より自身の活動を優先するべくロバータのバンドもシークも脱退している。シークに彼女の後任として加入したのがスウィートシェリー・ミッチェル。

※※外国人が話す日本語を片仮名で表記するのって、馬鹿にしてません? 差別だと思うなぁ。単語ならまだしも、文章をそうしちゃうのって、
「キリヤマ、アナタモソウオモイマセンカ。」(「ウルトラセブン」第一話より)
「ドウモ アリガトウ」
 純日本語としては認めていないとしか思えない。そういう繊細な区別が可能な言語という肯定的な捉え方も出来るのだろうけれど。でも島国的だと思うなぁ。鎖国を止めてから結構経つんだし(笑)。

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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コメント

  1. GAKU より:

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    >グルーヴがそこに「在る」という感じの一体感が素晴らしい。
    >それを激しい演奏では無く、抑えに抑えたそれで現出させるというのは、
    >かなりの技術と魂が無いと出来ないだろう。
    全くその通りですね。
    先日ナルヒロさんとボズ・スキャッグスのわりと最近のライブを聴き、
    「こんなに音数が少なくて、演奏もゆったりしてるのに、
    このグルーブ感はなんだ!?」と同じような話をして驚いたところでした。 Like

  2. GAKU より:

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    ×WOWWOW ○WOWOW

    真ん中のWは一つだよ。 Like

  3. hit2japan より:

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    上の非公開コメントの中で、誤植の指摘をして頂いた。
    有難う御座居ました。
    誤 WOWWOW
    正 WOWOW
    それじゃあBOW WOWだよって?!(笑)。
    失礼致しました。本文、直しました。
    人見欣幸 Like

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