28 2007 8/11 短期集中! Sly & The Family Stone(其の弐)

Aug. 11th, 2007.
人見欣幸の音楽三昧

Hot FUNK in the Summertime
featuring SLY & THE FAMILY STONE -pt.2.

01 Dance to the Music, live ’69.
02 Music Lover, live ’69.

03 Everybody Is a Star, ’69.

04 Family Affair, ’71.
05 Runnin’ Away, ’71.
06 (You Caught Me) Smilin’, ’71,sg-’72.

07 Just Like a Lady, ’71.
08 There’s a Riot Goin’ On, ’71.
09 My Gorilla Is My Butler, rec. ’71.

10 Dance to the Medley, ’68.
a) Music Is Alive
b) Dance On
c) Music Lover

11 Spaced Cowboy, ’71.

&
Luv n’ Haight, ’71.

 今週と来週は、スライの、と言うよりも、七十年代ファンクの傑作、’71年の『暴動』を中心に。

 タイトル曲の08(LPではA面最後だった)は無音。ジョン・レノンの「ヌートピア国際賛歌」よりも早い(笑)。

 拠点をサン・フランシスコからL.A.に移した事から起こったグループの結束力の低下(シスコ時代には共同生活をしてもいたという)、新たな環境が生んだ新たな(怪しい)とりまき連中、ドラッグの乱用等の様々な「負」の要因から生まれたアルバムと言えるので、常日頃より賛成しかねる悪しき定説「不幸が名曲を生む」→「不幸でないと名曲が生まれない」を後押しする事になってしまうのには抵抗が有るのだけれど・・・。
 それを念頭に置き、贔屓目を可能な限り取り去っても、矢張り『暴動』は傑作だとしか言い様が無い。

 少なくとも、前作『スタンド!』と表裏をなす形でスライ&ザ・ファミリー・ストーンの頂点となっているというのはファンク好きの誰もが認める所だろう。
 パーティー・ミュージック、力強い「押せ押せ」ファンク、メッセイジ、アジテイション、この時期のシスコを代表する理想主義の結晶である『スタンド!』(その直後の「サンキュー」迄も含めて)からわずか一年ちょいで、グループ名義乍ら、ほぼスライ・ストーンのソロ的な内容、力強さは何処へやら、理想主義は弱気な逃避へと変わっている。
 まぁ『スタンド!』の「セックス・マシーン」は既にアブない感じではあったけれど(笑)。

 ソロではないし、しかもこの作風はこれ一枚っきりでもあるのであまり同じ括りにされないけれど、『暴動』は「内省の七十年代」の幕開けを告げる作品群の一枚に加えられるべきだと僕は思っている。
 つまり、
ザ・ビートルズ、S&Gの各メンバー
キャロール・キング、ジェイムズ・テイラー、エルトン・ジョン、ドン・ムクリーンらシンガー=ソングライター
マーヴィン・ゲイ、カーティス・メイフィールド、ロバータ・フラック、ダニー・ハザウェイら独白調のアフリカ系アメリカ人
といった面々と同列で。
(尚、スティーヴィー・ワンダーの大化けは「同時期」では無く「直後」、つまり「スライの最初のフォロワー」になると思っているので此処には含んでいない。)

 ‘69年の「ウッドストック」での演奏場面を観ていると、確かに素晴らしいし感動的なのでが、同時にスライ・ストーンという人がかなり神経質なのが解る。居心地が悪そうだし、目を閉じるか横のメンバーを見ていて、観客をまともに見られないでいる。本来とても内向的な人なのだというのが伝わってくる。(この映画で更に増幅されてしまった)スターとしての周囲やファンからの期待に負けてしまいそうな匂いが既にしている。
 「『ハイアー』って言え!」と自分で煽っておいて、その迫力ある観客のシャウトを大きく受けとめる事が出来ず、潰されてしまいそうな所を何とか堪えている様に僕は感じるのだけれど、深読みのし過ぎだろうか。
 競演者だったジミ・ヘンドリクスやザ・フー、或いはファンクの神=JBの様に、大観衆を相手にしてやっていける(良い意味での)図太さや覚悟が感じられない。晒し者みたいに見える。

 ジミ・ヘンドリクス急死の影響も結構大きいとは思うけれど。

人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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