5 9/14 イーグルズ新作を待ち乍ら。

Sep. 14th 2007
イシイ ポップス・イン・ザ・ボックス
vol.494

03
QUEEN OF HEARTS
/Juice Newton

06
PEOPLE IN LOVE
/10cc

10
CRY
/Godley & Creme

15
DON’T LOOK ANY FURTHER
/Dennis Edwards

ミドル4:EAGLES (pt.1.)
21
TAKE IT EASY
27
WITCHY WOMAN
31
DESPERADO
35
TEQUILA SUNRISE

41
THE BOYS OF SUMMER
/Don Henley

45
FEEL A WHOLE LOT BETTER
/Tom Petty

48
SUMMER BREEZE
/Seals & Crofts

52
LONG HOT SUMMER
/The Style Council

 先週の勢いにのってジュース・ニュートンでスタート。前回デイヴ・エドモンズ版をお聴き頂いたこの曲。編曲はほぼそのままです(とデイヴのコンピ盤にも記述が。「ほぼ踏襲したアレインジで大ヒットさせた」と少々恨み節っぽく[笑])。

 何故か10cc関連を二曲。四人組時代をこよなく愛する(まぁ殆んどの10ccファンはそうでしょうが)クチとしては、分裂後の10ccは、名前は継いでいるものの別モノだと思いがちで、僕もそう。なので「関連」。そりゃあ好きなんですけどね。「大」好きではないのですよ。
 分裂後10cc(別名5cc)は本当に美しい音楽を創造。毒が抜けてしまったのが英国ポップ好きには物足りない。
 脱退組のゴドリー&クリームは、その偏執狂的な音作りに磨きがかかるも、矢張り良い「曲」があまり多くない、と。
 バンドからシンガーが脱退した後の各々とか、バンドのソングライター(ギターリスト)とシンガーがソロを出した場合とかと同じ、解り易〜い欠落部分。だから一緒にやってればさぁ、という。
 でもそれって、それこそ人を道具扱いしてますよね。性格とか人間性とかを勘案していないんだから(笑)。ファンや一般大衆ってのは勝手なもんです。

 デニス・エドワーズは、ザ・テンプテイションズの二代目リード・ヴォーカリスト。その前はザ・コントゥアーズ(「Do You Love Me」がヒット)に在籍。実はテンプスのリード・シンガー史上最長の在籍期間を誇るのですが、初代のデイヴィッド・ラフィン、三代目のアリー・オリー・ウッドゥスンに挟まれて評価をあまりされていない不運の人です。彼の在籍時の評価は、音作りをしていたノーマン・ウィットフィールドに集まってしまうのです(僕もそうですが)。しかしそのサイケデリック・ソウルと呼ばれた音楽に乗せて歌っていたのは紛れも無く彼、彼の歌声の魅力はもっと評価されて良いでしょう。
 「Happy Peiple Are We」とか「Shakey Ground」とか、素晴らしいの一言です。

 イーグルズ。先ず告白しておきますと、僕は「ザ・ロング・ラン」がリアルタイムぎりぎりなのです。「ホテル・カリフォーニア」さえ後追い。実はその「ホテル」、第一印象は「暗いなぁ」で、中々好きになれませんでした。ファン失格か?!
 その「ライヴ」を聴き、友人の友人のLP(勿論!)も全てカセットにコピーし、という形でハマッていった、と。そして彼等のアメリカの七十年代の歩みと重なるその歩みに気付かされて更にハマりました、とさ。

 以下はひとつの説です(僕は同意しているだけで、別に僕が発表した訳じゃないですからね)。
 ヒッピー幻想の名残り(ヒッピーに憧れて西へ向かった吹き溜まり)の中から出現、
①その気怠さを半ば開き直って「のんびりいくさ “Take It Easy”」と表現
②「どうせ俺達ゃ消え行く側の流れ者よ」ってんで「ならず者」
③ヴェトナム絡みも有ったと思われるハードな世情から、逆の開き直り(売れ線を意識)でメンバー加入、ちょっと一線を越えつつあって(オン・ザ・ボーダー)、
④その後その路線を進む。時代はディスコだ夜のパーティだソフトなソウルだ(「呪われた夜」)、あらら愛しのカントリー・ロック色は何処と一人脱退、ハード・ロック大好きな根アカ男加入(僕の仲間内では褒め言葉として「アメリカを代表する馬鹿」を呼んでおります)
⑤よりによってアメリカ建国二百年騒ぎの年末に、バンドの、LAの、アメリカの閉塞感を「このホテルからは出られない」と喩え、
そうしたらホントに行き詰まり状態になり、「疲れた」とまた一人脱退、最後の最後に初の西海岸野郎(でも荒くれではない)が加入
⑥「ハイ、かなり行き詰ってま〜す」と正直に明かす内容の(しかし音楽性はやたら高い)アルバムを発表。覇気は無く、ジャケは真っ黒、最後の曲は女々しい回想。タイトル曲の「見つかるさ、人生は長いんだからね」は悪い冗談にしか思えない、という。
「テイク・イット・イーズィ」から一回転、しかし後ろ向きに走っているかの様。

(以上、①〜⑥に各アルバムを対照してみて下さい。)

 で、「イーグルズの解散はある倫理の破綻だ」と書く人迄現れた82年の解散発表を迎えます。これは、偶然時を同じくしていたザ・ドゥービーズやスティーリー・ダンのそれとは基本的に違うものだったと思います。
 ダンの場合は一人脱退(で一人になった)とも言える?!

 そしてその「重さ」を在籍時から主に担当、ソロになっても引き受けていたのがドン・ヘンリー。大体、ファースト・ソロのタイトルが「まだ立ち直れず ‘I Can’t Stand Still’」ですものね。グレンは♪She’s a very sexy girl, oh yeah!♪なんて歌ってる時に、まだ(笑)。

The Boys of Summer
 彼の傑作セカンドより、夏の終わりの定番。ちなみに彼のソロ作ではザ・ハートブレイカーズ(トム・ペティんとこの)の面々が大変重要です。です。です。

 ので、トム・ペティ。ジェフ・リンをプロデューサーに迎えてのソロ作より、彼の最大アイドルの一組、ザ・バーズのカヴァーを。

 更に最後に行く夏を惜しむ二曲。

 という選曲でした。番組内ではここまで話せません(夕方からねぇ[笑])ので、いやぁブログ様さまです。

 (いつもより更に!)長々と失礼。

人見 “Hit Me!” 欣幸, ’07.

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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コメント

  1. Masashi より:

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    Eagles のミドル4 pt.1

    今回は1st, 2nd からそれぞれ2曲ずつとなりました。
    代表曲という点では、やっぱりこんな感じですかね。

    僕の好みでいくと「Witchy Woman (魔女のささやき)」を
    「Peaceful Easy Feeling」に差し替えるかな。
    はたまた「Doolin Dalton」も捨てがたし・・・ といったところですかね。
    夕方に聴く「Tequila Sunrise」も、またいいものです。 なんか矛盾してるけど。 Like

  2. Masashi より:

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    ウエストコースト・ロックを語る上で、また彼等が所属したアサイラム・レコードを語る上で
    大変重要な2枚であると感じております。

    カントリーを根っこにした音、爽やかなコーラスが当時の Eagles のイメージだと思いますが、
    この2枚、実はロンドン録音だったいうのは僕も後で知ったことです。
    当時のメンバー4名全員が西海岸近辺の出身ではないことも、特殊な話かもしれません。
    そういう耳で聴いてみると、慣れぬ土地と大物プロデューサー Glyn Johns に
    なかばビビりながらレコーディングをしていたのかなぁ、なんて思ってしまうのです。
    知らなければ知らないで、別にいいことなんでしょうけど・・・

    それにしても「ひとつの説」といって、
    彼等のスタジオアルバム6枚を並べた文章には笑ってしまった。
    よく言い当ててるよなぁ、感心しきりです。
    彼等も1970年代という時代に翻弄されてきたんだなぁ、というのが覗えます。
    各アルバムについて、僕はやっぱり甲乙がつけられません。 
    多少は思い入れもありますけどね。 Like

  3. Masashi より:

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    ・要らぬツッコミ

     ⑥ (中略) 
    「テイク・イット・イーズィ」から一回転、しかし後ろ向きに走っているかの様。

    後ろ向きに走るのであれば"半回転"でいいような気もしますが・・・ まぁいいか。 Like

  4. 人見 より:

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     ホントだ。表現が未熟でした。

     「テイク・イット・イーズィ」から一周、同じく「のんびり行こう」と言っているけれど、後ろ向きになって、それでも何とか先に行こうとしている意志を感じる。

     しかしその歩みは止まってしまった、と。

     さて新譜はこの歩みを踏まえているのかどうか。大いに興味が有ります。

    とでもすべきでした。この場を借りて加筆訂正します。 Like

  5. GAKU より:

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    小5の時だったかな。
    ベイ・シティ・ローラーズ聴きたさにダイヤルを合わせていたラジオのチャート番組で、「ホテル・カリフォルニア」ベスト20内に初登場の時を聴いていました。なんとも言えない暗さ、重さ、でもカッコいいなと思ったものでした。
    当時はまだラジカセは持っていなくて、テープレコーダーの前にラジオを置いて録音していました。ライン録音ではないので、気をつけないと当然周囲の雑音や声も入ってしまいます。
    この曲を録音して再生した時、イントロを聴いて「あ~あ、飛行機の音が入っちゃった」とガッカリしたものでした(笑) Like

  6. hit2japan より:

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    GAKUちゃん
     僕等世代くらい迄は、その「スピーカー=マイク密着録音」って結構やってるんだよね。でも実は、僕はその経験は無くてね。ラジカセでラジオは録ってたけど、「TVはコードで繋がってないから録れないや」とか思って、素直に割と諦めてた。でも後に、父がオーディオ会社に勤めていたせいもあってか、イアフォンジャック出力で、ミニ(モノ)=ピンのコードをステレオのAUX経由で録音する術をすぐ教えてもらったので、TVKの「ファイティング80s」のザ・モッズとかピンク・クラウドとかの音は録ったんだよね。
     ザ・モッズ、今更メンバー脱退って、ストーンズとかREMみたいだけど・・・。残念だねぇ。
    人見 Like

  7. GAKU より:

    SECRET: 0
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    >イアフォンジャック出力で、ミニ(モノ)=ピンのコードを
    >ステレオのAUX経由で録音する術
    しばらく後にその方法を知り、ラジカセを買うまでの間は僕もそれで録音していました。

    >「ファイティング80s」のザ・モッズとかピンク・クラウドとかの音は
    >録ったんだよね。
    それは貴重だね。まだ持っていたら今度聴かせてください。

    > ザ・モッズ、今更メンバー脱退って・・・
    もうここまで来たら一生メンバーチェンジはないだろうと思っていただけに、意外だったし残念です。
    特に梶浦さんはモッズのビートの要だっただけに。 Like

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