「タウンニュース横須賀版」連載
Hit Me’s YOKOSUKAN Pop/Rock File
〜横須賀ゆかりの音楽や音楽家について、つらつらと〜
再録
(2007.3.30. 号初出分)
第七回 「ヨコスカ・マンボ」上々颱風(1992年)
本文:
いきなり堅い話で恐縮です。「ポップスとは何か?」「ロックン・ロール(以下『R&R』)とは何か?」という、本来正解の無い問い掛けへの一つの仮説として。
戦後約十年での、都市・市民の急速な復活・拡大、経済の発展、大量消費としてのレコード文化=音楽を買うという発想の拡大が土台としてあり、ベイビー・ブーム世代が安価なシングル盤を買う(又は買って貰う)様になったのとR&Rの発生は無関係では無いと思う。歳上の大多数が「中途半端」「うるさい」と嫌う類の、つまり思春期・反抗期の少年少女の心を奪う音楽。純クラシックでも純ジャズでも無い「その他」、しかもブルーズや民謡等の要素も混ざった「ごった煮」。その中の、耳障りの良いものが「ポップス」、やかましいものが「R&R」なのではないか、と。
—という仮説に立脚すると、上々颱風は紛れも無く「R&Rバンド」だ、という説明をしたかったのです。長々と失礼。本当にその音楽性は何でも有りだ。魂を鼓舞するメッセイジ、ハラホロヒレハレなドタバタ、涙腺を直接刺激する美しいメロディ。下手をするとそれらを一曲に詰め込んでしまうのだ。本連載第二回で、紅龍は服部良一の後継者だと書いた。その服部的な大陸歌謡色を特に強く感じさせる一曲がこの「ヨコスカ・マンボ」だ。メロディが、演奏が、歌詞が、何やら広い。香港や上海を連想してしまう。舞台は横須賀なのに(笑)。
写真:「上々颱風3」アルバム・カヴァー
写真下キャプション:
作詞・作曲:紅龍
編曲:上々颱風
『上々颱風3』所収
1992年3月25日発売
美声を聴かせるは横須賀出身の西川郷子。白崎映美が高らかに歌いあげる大名曲「美は乱調にあり」も本作収録。
プロフィール:
音楽紹介業。67年生まれ。津久井小、北中、追高出身。洋楽依存症歴28年。
FMブルー湘南(横須賀78.5MHz)、湘南ビーチFM(逗子葉山78.9MHz)にて音楽番組を担当中
ひとこと:
学生の頃バンドでモップスを演っていた。ナーイ・デ・ジガン。屈指のロックシンガー、鈴木ヒロミツよ安らかに。
補遺
鈴木ヒロミツ:
彼が素晴らしいヴォーカリストであると知った時は驚いた。歌手活動を続けられない日本の音楽土壌を憂い、疑い、憎んだ。
本稿執筆・掲載と同時期の湘南ビーチFM「DJ Diary」でも触れた。
ナーイ・デ・ジガン:
素晴らしいカヴァー・ヴァージョン「月光仮面」に出てくるフレイズ。言っているのは星 勝で、訳している(?)のが鈴木ヒロミツ。
漫画「マカロニほうれん荘」四巻に、トシちゃん(金星人)ときんどーさん(その通訳)の
「ダバデビダバドゥブ!」
「通訳いたします」
という遣り取りが出てくるが、これはこの曲を下敷きにしていると思われる。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸 (音楽紹介業)
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