75 沢田研二、十二月にドーム公演「か?」

 まだあくまで企画段階だと強調していたのに、決定したかの様な書き方。
 案の定という感が強い。嗚呼マスコミって怖い。

 昨日の澤田研二正月公演で彼が口にしたのは、

還暦記念で、現在はあくまでも希望として、十一月(大阪)と十二月(東京)にドーム公演を行いたい

というものだ。.

 かなり具体的に、

午後三時から五時迄を第一部、夕食を挟んで六時半から八時半を第二部として、だらだらとやりたい

とも話したが、何度も何度も(笑いを取るという意図も有ったにせよ)、「まだ、あくまでも希望やで」と強調していたにも関わらず、報道は「ドーム公演を行うと発表した。」少なくとも見出しの多くはそうなっている。決定事項と思わせる書き方で。
 「〜へ」「〜か?」と付ければ全てが許されると、彼等はまだ思っているのだろうか。

 な〜にが報道だよ。正しく伝えようという姿勢が無いじゃんか。
 ザッツ・エンタテインメント(/The Jam)。澤田研二も自作の歌詞で「この世は全てエンターテイメントさ」と歌っていたけれど。

 そういう虚飾と拡大解釈と誤解の世界で四十年現役を続けている本人や関係者、そして長年のファンはそれも笑って受け流せる心を持っているのだろうけれど。
 ジュリー自身も、きっと「どうせ『決定!』みたいに書かれるのだろう」と思い乍ら口にし、コアなファンも喜びつつ「どうせ大袈裟に書かれるな、明日は」位に受け止めていたのだろうけれど。

 しかし。
 しかししかししかし。

 事実誤認(拡大解釈)である事に間違いは無い。

 少なくとも「正式発表」では無い。

 わざわざ「希望だ」と強調しているのを敢えて無視する「報道」は最低だ。

 その(彼等からすれば)「ちょっとした表現の誇張」により、事務所がこれからどれだけ苦労するのか、ジュリーのジュの字も普段口にしない奴等から「何だか頑張っちゃうんだね、ジュリー」等と迷惑な事を言われる事になるファンがどれだけ出てくる事になるのかに心(CO-CoLO)を配れる記者や編集部は存在しないのか。そんな国語力・読解力・気配り力でペンを武器にする事への恥ずかしさは無いのか。

 無いんだね、きっと。

 自戒を込めて、

気を付けよう
事実誤認と
誤字脱字

 今回の彼の新春公演、タイトルは「前夜祭」
 還暦の前夜祭だ。

 毎年発表している新作は既に録音を終えているそうだ。通常通り春〜初夏に発売となるのだろう。楽しみだ。
 そしてこれも又毎年行っている、新作を演奏する為のトゥアーを、還暦となる六月二十五日より秋迄行うという。

 さて、以降は「憶測」だ。これは強調しておく。自称音楽評論家(しかもジュリー大好き)として、これくらいの憶測・推理は公にしておきたい。

 「前夜祭」は昨日が初日で、あと半月は公演が続くので、公開の場に具体的なセット・リストを掲載するのは避ける。
 それでも少しだけ触れておきたいのは、演奏曲にカヴァーが、それもザ・タイガース時代とソロ初期のレパートリーが多く含まれていた、という事。

 これはドーム公演で、ジュリーが幹事となって、二十六年振りの「ザ・タイガース同窓会」をやりたいという願望のあらわれだろう。そう解釈したい。しかし現役である彼は、同窓会だけにはしたくないので、合計四時間という、自身が表現するところの「だらだら」とした時間が必要なのだ。

 そしておそらく、その「だらだら」の中で、ザ・タイガースだけでなく、以降の歴代メンバーにも声を掛け、「澤田研二同窓会」にもしたいのだろう。PYG、井上堯之バンド、エキゾティクス、ココロといった歴代メンバーそして勿論恩人である内田裕也といった面々が(ミッキー吉野グループ[ゴダイゴの前身]は無いかなぁ[笑])、仮に演奏が無いとしても、それこそ舞台に立ったり、巨大モニターでコメントを寄せるだけでも壮観だろう。
 そこに阿久悠も加えられたなら更に素晴らしかっただろうに。

 多分それが一部(夕食前)。
 で、二部で現役バリバリの「今」を(トゥアーの締めとして)叩きつける、と。

 CDやDVDのボックス・セットで御馴染みの「パスト&プレゼント」或いは「パスト、プレゼント&フューチュア」という形ですな。

 だと良いな。
 観たい!!!!!

人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08.

【追記】
このドーム公演は「人間60年 ジュリー祭り」と題されて本当に実現した。大阪と東京で一回ずつ。
但し、その内容は良い意味で裏切られ、過去を振り返る同窓会的なものは全く無かった。
何と全八十曲。現在の彼のバンド・メンバー四名(※)と、およそ七時間に亙るライヴをこなした。
集大成・到達点では無く、「単なる通過点」としての「御祝い」という位置付けに落ち着けたかったのだろう。
その現役感、歌唱力、演出力、精神力、体力、記憶力(八十曲歌ったのに歌詞は所々忘れたという程度!)、
東京公演がDVD、CD化されている。しかもノー・カット版!

(※)数曲でコーラス(大合唱隊!)とドラム・マシーンが加わったのみ。バンドのみのインストゥルメンタル一曲を含めると八十一曲。バンドは全員出ずっぱり(いわゆる「板づき」)だった。

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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コメント

  1. tomi より:

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    こんばんは。ブログ「ジュリーな毎日」のtomiです。
    今年もよろしくお願いします。
    昨日、行かれたんですね、ライブ。I Put~はカッコ良かったですか?
    僕は9日のフェスティバルホールに行きます。
    さすが人見さんですね。僕も人見さんのご推測に乗せていただきたいと思います。EXOTICS好きの僕としては第一部の「澤田研二同窓会」に期待大ですが、第二部の「今」、「これから」の澤田さんにもとても興味があります。ロックシンガー澤田研二にしかできない新たな伝説を打ち立てて欲しいと期待しています。

    最後になりましたが、今年もガンガンいい音楽を発信して下さい。
    ご活躍を期待しております。 Like

  2. hit2japan より:

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    tomiさん
     推測に乗って頂き光栄です。
     ホント、これが当たると良いですね。
     「さすが人見さん」だなんて、いえいえ。あの選曲で(一曲目から○○だもの!)、「こんな形でだらだらと」なんていう話があって、という手掛かりを与えられたら、ファンなら誰だってこの程度の事は思いますって。

     例えばボブ・ディラン、ロイ・オービスン、ブライアン・ウィルスン、バート・バカラック等の様に、誰か近い友人が幹事になって「○ Years Celebration」が行われる事は有ります。
     又、ジョージ・ハリスン、フレディ・マーキュリー、スティーヴ・マリオット、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、それから毎年の(それもどうかと思いますが、それは兎も角)ジョン・レノンの様に、死後に縁のミュージシャンが集う「追悼コンサート」もしばしば開かれます。
     いずれにしても本人は、企画に「乗っかる」形ですよね。ディランなんか「いいよ別に祝ってくれなくてもさ」みたいな態度だったし(笑)。

     今回のジュリーは自分で「ワシを祝ってくれ!」と声を掛ける形ですから、いやこれはユニークですなぁ。彼らしい(笑)。
    人見 Like

  3. nagi より:

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    こんばんは。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
    さて、私もその「憶測」に1口のせていただきます!!
    というか、のらないファンはいないのではないかと・・・。
    誰もが願っていて、でも在り得ないと諦めていたことが、「還暦」というこのオメデタイ年に急に現実味をおびてきて、ざわざわ・ソワソワ・ドキドキ~しながら期待がだんだん大きくなっていくそんな感じです。
    私個人としてはEXOTICSの大ファンですが、当時お子様であまり意識しなかった井上堯之バンドも、EXOTICS解散のショックで聴かなかったCO-Co-LOの魅力も、今なら判るかもしれないし、とにかく楽しみな一年となったことが嬉しいです。
    「憶測」プラス妄想として、ラストは新旧入り乱れて『Get Back』で大セッションというのはどうでしょう? Like

  4. nagi より:

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    追伸。
    大盛り上がりの後は、やっぱりジュリーの持ち歌で締め。
    ソロデビュー曲の『君をのせて』で、会場大合唱でしっとりと幕。
    あっでもそうするとタイガースのデビュー曲っていうのもアリか? Like

  5. tomi より:

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    こんばんは。またまたお邪魔します。
    昨日の大阪フェスではドーム公演のこと、希望ではなく「予定」に変わりました。東京は12月3日、大阪は11月下旬だそうです。
    12月3日、平日ですが僕も何とか都合をつけて東京ドームに行きたいと思っています。
    「ワシを祝ってくれ」と自ら企画される還暦ライブ、これは絶対、祝いに行かなければなりませんね。

    それにしてもI PUT~は全身鳥肌モノでした。ボーカルに声の衰えはまったく感じず、むしろCCR版のパワフルさと、澤田さんの色気がミックスされて、新しい澤田研二という感じがしました。
    またバンドの演奏も、下山さんのソロギターに柴山さんの激しいストロークが切り込んできた瞬間、あまりのカッコよさに気が遠くなりそうでした。
    すごく良かったです。

    それにビートルズ・ナンバーは澤田さんもバンドのメンバーも本当に楽しそうに演奏されていましたね。皆さんがとても若く見えました。
    ロック好きの心にズシンとくるライブでした。

    次回、大阪でのライブは7月だそうです。大阪フェスティバルホールで澤田研二のライブが観れるのはこれが最後になります。都合がつけば人見さんもぜひ大阪にお越し下さい。 Like

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