湘南ビーチFMウェブサイトに、2002年の二月より二年ほど掲載されていた「DJ’s Recommendation」への拙文を復刻・再掲載する。これは複数によるリレー連載で、僕は六本(実はもう一本)書いている。
尚、本文中、若干の語句の訂正を行った。
2002年3月10日初出
Name: ネルスン・スーパー・プロジェクト Nelson Super Project
Title: ネルスン・マジック Nelson Magic
Label: esqDesk, inc
Number: ESQCD-007
山下達郎のバック・バンドとして集まった九名(山下を除く全員だ)からなるグループのデビュー・アルバム。数年前よりライヴは行なっていた。
各メンバーを紹介するだけでもかなりの字数を費す事が予想される(笑)。簡潔に(?)、
○drums/ 青山 純
プリズム他、数多のセッション活動。本作で初の作詞に挑戦(ぷっ)
○bass/ 伊藤広規(こうき)
斉藤和義との活動「7」でも知られる 青山 純との名コンビ
○guitar/ 佐橋佳幸
小倉博和(昨2001年夏、葉山マリーナーに来た)らとの山弦やソイとしても活動中。小田和正、大貫妙子、佐野元春(ザ・ホーボー・キング・バンド)他
○keyboards/ 難波弘之
金子マリ&バックス・バニー、ソロ、センス・オヴ・ワンダー、野獣王国他
○keyboards/ 重実(しげみ) 徹
キロロのアレンジ他、中村一義やチャーとも関わっている
○saxophone/ 土岐英史(とき・ひでふみ)
ソロとして、チキンシャックとして、ジャズ/フュージョン界に君臨。ラ・マーレ・ド・チャヤからのジャズ・ライヴ番組、湘南ビーチFM「One Night Stand by the Sea」出演経験有り
○vocal/ 国分(こくぶ)友里惠
ソロ・アルバム多数、近年はコンテンポラリー・ゴスペル界で活躍
○vocal, keyboards/ 佐々木久美
コーラス及びコーラス・アレンジャーとしてスマップ、シルヴァ他
○vocal/ 三谷(みたに)泰弘
元スターダスト★リヴュー(レビュー)、現エスク (esq)
ともすると「野獣王国・人数倍!」等という予想や期待をされるかもしれないので(笑)、先ず、いわゆるフュージョン色は抑えられた、「演奏重視、楽器少年必聴のテクニックひけらかしアルバム」ではない、という事は書いておきたい。
様々な要素が入った、しかし最終的には歌もの中心のポップスのアルバムに仕上がっていると思う。各人がニコニコしながら「こんなのどう?」と小ネタを披露するが如く、曲を持ち寄って来たのだろう。
みんなキャリア充分、そして多忙、つまり「今更バンド組むなんて」と思わせる面々がわざわざ組んだバンドなのだから、それはもう、楽しむ事を最優先にしているのは当然なのだろうし、兎に角和気あいあいとした空気が伝わって来る好盤となっている。
録音は何と今年の一月、いわゆる「録って出し」という、小細工無し、「せーの」の勢いで作ったお楽しみアルバムだ。日本語で歌われるものが多いので実際の所「湘南ビーチFM向き」とは言えないのだけれど、オン・エアの観点からするとインストゥルメンタル曲はおススめ。
さて、こうして既にまとまっていた九人と間も無く合流して今月(三月)からのトゥアー・リハーサルを開始したのが山下達郎である。元々、彼等を一堂に会させた張本人とは言え、ちょっとズルい?! ははは。
でもホント、十人で一つの楽器を奏でているかの様な音の塊は感動モノですよ。
僕は佐橋佳幸は和製マイク・キャンベルだと思っているので、今回の山下達郎と、トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズとすぐにトゥアーに出た85年頃のボブ・ディランが、僕の中では少しダブっている。
所でこのバンド名は一体何に由来しているのだろう? もしや、ニュー・サディスティック・ピンクのもじりだったりするのだろうか?
尚、本盤はインディーズからの発売。詳しくは http://www.esqlink.com/nelson 迄。
補遺
彼等は、2008年秋に、モータウン作品をカヴァーしたセカンド・アルバムを発売、同時にこのファースト・アルバムもボーナス・トラック付きで再発売されている。ライヴ活動も断続的に行っている。
尚、今回の山下達郎のトゥアー “Performance 2008-2009” には、青山 純、重美 徹の二名は不参加。ドラムマー:小笠原拓海、セカンド・キーボーディスト:柴田俊文が参加している。いずれも初参加。
単なる「ソロ・ミュージシャンのバック」という扱い以上のパフォーマンスを披露する(要求される)山下達郎バンドは、それこそイエスやディープ・パープル、又はジェフ・ベックの様に「今度のメンバーは誰なの?」という話題がのぼる、非常に気名性の高いバック・バンドである。
二十九年不動だったドラマーと、二十二年不動だったセカンド・キーボーディストが交代したのだから、かなり変わった。
その変革は、どうやら「吉」と出ている様だ。
音が、舞台が、より「笑っている」様になったと感じる。
勿論、以前の組み合わせが悪いと言っている訳では無いので念の為。
だって、そうだとしたら、大ファンを続けている僕の四半世紀も否定してしまう事になってしまうもの(笑)。
♪ついておいで
ええ、ついて行きますとも、これからも、何処迄も!
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’08. (音楽紹介業)
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