April 17th, 2009. イシイ ポップス・イン・ザ・ボックス
提供:石井食品
vol. 577.
M1
16:03 CAN’T HELP FALLING IN LOVE
Elvis Presley
M2
16:06 A PLACE IN THE SUN
Stevie Wonder
M3
16:08 SOON IT’S GONNA RAIN
The Singers Unlimited
M4
16:13 ALISON
Elvis Costello and the Attractions
M5
16:18 LOVEFOOL
The Cardigans
ミドル4:ビリー・ジョエル
M6
16:23 PIANO MAN
M7
16:29 SHE’S ALWAYS A WOMAN
M8
16:32 DON’T ASK ME WHY
M9
16:35 HONESTY
Billy Joel
M10
16:41 DUST IN THE WIND
Kansas
M11
16:45 SUNRISE
Norah Jones
M12
16:48 NOT FADE AWAY
The Rolling Stones
M13
16:50 BLACKBIRD
The Beatles
M15
16:53 GOD ONLY KNOWS
The Beach Boys
出世作からして「ピアノ・マン」(今回のM6)ですので仕方が無いのかも知れませんが、本来はもっと暴れん坊な音楽性を持つ本来の姿とは違い、ビリー・ジョエルにはどうしても「放浪の吟遊詩人」「街の観察者」「洒落た兄貴」といった、孤独、スーツの似合う成功者というイメッジが強くあります。
ピアノ・メン=リトル・リチャードやジェリー・リー・ルーイスそして勿論エルヴィスでポップ音楽に熱中、ザ・ビートルズに触発されバンド活動、やがてハード・ロック・バンドを結成(売れず)、西海岸へ脱出等と、実はかなり王道のロック世代らしい歩みを経て、ソロとして成功。「売り」と「正体」のギャップに戸惑い乍らキャリアを重ねたと言える七十年代。
それを打ち破るべく、冒頭の硝子を割る効果音とアルバム・カヴァーで知られる『グラス・ハウゼズ』を発表した ’80年、「(売れなかった)初期の楽曲にも気付いてくれ!」と、その時期の曲だけで構成されたライヴ・アルバム『ソングズ・イン・ジ・アティック』(屋根裏の楽曲群)を発表した ’81年。レーベル・メイトのブルース・スプリングスティーンが得ていた「ロック・スター」の看板をとても羨ましがっていたというエピソードは有名です(そのブルースは数年後の「ボス・フィーヴァー」で身動きが取れなくなってしまい煮詰まるのですが、それは又、別の話)。
ロックン・ロール、メッセイジ色、六十年代ポップス、再び(しかし新たな)コンテンポラリー・AORとアルバムを発表する度に新機軸を打ち出し、クラシックの作曲(この時期はポップ・ミュージシャン引退という状態)も手掛けた彼は、おそらく無意識のうちにポピュラー音楽全般をカヴァーするキャリアを重ねて来ました。自分の才能はそれだけじゃないんだぜ!と言い張り続ける、その雑食性こそが「ロック」なのだと僕は思っています。
今回の四曲は、「アクースティック」という基準により、特に耳障りの柔らかい選択となりましたが、只の「ステキな甘いスロウ・ナンバー」では無い、ヒリヒリとした感触やニヤリとさせる捻りが感じられる、それが彼の「野郎」っぽい資質なのではないか、と考えています。
「木を見て森を見ず」
耳に痛い言葉です。様々な局面で僕が陥りがちな状態・・・。
選曲の場合には、前後の繋がりばかりを気にして番組全体のバランスに気が回らない、等。
当番組では選曲の幅自体を最初から或る程度絞ってあるので、バランスを欠いたという事は起こらない(と自分では思っている・・・)のですが。
今週の最後の三曲、
ストーンズ
ビートルズ
ビーチ・ボーイズ
と、余りにもベタ(しかも三曲とも六十年代)な顔触れとなっていた事には、選曲段階では気付いていませんでした。番組中、喋っている最中に気付いて笑ってしまった次第。
でも、恥ずかしいと思いつつ「良い曲は良い」という当然の感想を持ってしまったのも事実。
人が丸くなりましたかな(笑)。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’09. (音楽紹介業)
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