584 テディ・ペンダグラス(テディー・ペンダーグラス)死去。

テディ・ペンダグラス (Teddy Pendergrass) が亡くなった。
一月十三日。享年五十九。結腸癌の手術に伴う合併症が死因だそうだ。
昨年八月にその手術を受けたが、体調が回復する事無く死去したのだという。

こちらは吉岡正晴氏のブログ。こちらも同じく(続報として)。
こちらはバウンス誌のウェブサイト。

 (ひとまず一報。後日加筆予定。最新加筆:1/18)

 七十年代前半に、フィラデルフィア・ソウル界の代表格のひと組であるハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノウツ(ノーツ) Harold Melvin & The Blue Notes のリード・シンガーとして人気を博し、人気・実力兼備のセックス・シンボルとして全米のアフリカ系アメリカ人女性をシビれさせた。七十年代後半にソロとなってからもその人気は継続、八十二年三月に交通事故を起こし下半身不随となり、歌手生命の危機を迎えるも奇跡の復活を遂げ、以降もマイ・ペイス乍ら活動を継続、良質なアルバムを発表し続けていた。
 2006年に引退を発表したのは遅れ馳せ乍ら今回の訃報と共に知った。

 シーク(シック)関連での彼をフォロウをしておくと、上記の事故の直前となる(四月に発売)彼の歌声が、シークが音楽を担当した映画『スープ・フォー・ワン Soup for One』のオリジナル・サウンドトラック盤(※)に収録されている。曲は「ドリーム・ガール Dream Girl」。シーク・マナーとフィリー・ソウルの良いとこ取りと言える素晴らしい一曲だ。

 フィラデルフィア・ソウルを代表するひと組であるザ・ブルー・ノウツ、そしてソロと、いわゆる「歌モノ」王道の彼なので、ファンク好き・バックのサウンドに耳が行く傾向の強い僕にとって、彼は興味の中心となる事は無かったというのが正直な所なのだけれど、そんな僕にとっても彼の声の魅力には抗えず、何枚かのアルバムを持っている。ソロになってからのライヴ・アルバムが強力。失神寸前のソウル・シスター多数か(笑)と思われる嬌声も凄い。

 八十年代後半に登場した実力派新人、Carnel Abrahams (コロネル・アブラムズ、カーネル・エイブラムズ) の歌声が彼にとても似ていた、それでファンになったという人も多いだろう(※2)。

 又、我々日本人限定で、テディペン(←勿論日本人ソウル・ファン限定の通称)に関しての「ああその人か」というツカミを紹介すると、あの「8時だヨ!全員集合」で大人気となった「ヒゲのテーマ」(「イェ〜!!」ってやつ)のりフは彼のヒット・シングル「ドゥ・ミー」からの拝借である。何故あの扮装、ヒゲ、芸にテディ・ペンダグラスを使う事にしたのか? イヤハヤ流石は洋楽(特にソウル)ファン志村けんである(※3)。
 それを考えに含めれば、かなりの割合で我々日本人はテディ・ペンダグラスの音楽に(間接的に)触れている。かなりの割合で彼の音楽を憶えている。

(※)残念な事に未CD化。確かに半数は(サントラ盤発売時点で)既発表曲だったが、再発売にあたってシングル・ヴァージョン等を追加すればそれなりに魅力的な「ボートラ入り再発」となると思うのだけれど。
 僕の知っているだけでも、関連音源は、
SOUP FOR ONE
 single version
 12″ version
WHY /Carly Simon
 12″ version
WHY (instrumental version) /Chic
 (つまりカーリー・サイモンが歌わないのでシーク名義、という[笑])

 これだけで二十五分。総計で七十分になるけどなぁ。

 実は然るべきルートで日本盤で世界発CD化というのは叶わないだろうか?と提案をしてはいる。既発表曲に他のレコード会社の管理楽曲が含まれているので難しいかも知れないけれど。

(※2)以前、山下達郎が雑誌のインタヴューで最近御気に入りのソウルものとしてコロネルを挙げていたが、言い間違えか記者の書き取りミスで「カーティス・メイフィールドに似ている」という発言になってしまっていた。既にカーネルを聴いていた友人達と「何処がカーティスなんだろう?」と語り合い、そんな部分が有るのかと探すべく繰り返し聴き、当然それは見つからなかった訳だけれど、聴き倒した結果、更にコロネルが好きになった、という良い話(?)が有る。
 「あれは『テディペンに似ている』の間違いだな?」と気付いたのは暫く後。後年、山下達郎も番組でそう話していて納得。
 確かコロネル ’87年のセカンドのジャケ写が載っていたインタヴュー記事だから、翌 ’88年の『僕の中の少年』の頃のFM雑誌(「週刊」か「ステイション」?)と記憶している。

(※3)因みに「ドリフの早口ことば」のリフは、彼のダイアーナ・ロス&マーヴィン・ゲイで有名な(オリジナルはウィルスン[ウィルソン]・ピケット)「Don’t Knock My Love」から拝借したものである。ホント、流石は志村けんである。
 考えてみればあのコーナー「ラップ」と呼称される音楽の米国での誕生〜普及後、日本語としてはかなり初期と言えるメイジャー・フィールドでのラップの実験であった。スチャダラパー、イースト・エンド+ユリあたりの世代は小学生の時に無意識レヴェルで土曜夜のTVから感化されていたかも知れない。
 僕は「早口ことば」も「ヒゲ・ダンス」も、もうその時期の「全員集合」はちゃんと観ていなかったのであまり思い入れは無いのだけれど。
 僕の場合、志村けんと言えば東村山音頭の♪イッチョメイッチョメ、ワァ〜オ! や、その直後の瞬間風速的なギャグ(笑)♪ジャンジャジャジャジャスチャジャッ「ア〜アッ!」という意味不明なシャウトである。
 バカ殿、変なオジサン、そしてイッチョメ、ア〜ア!、早口、ヒゲと並べてみると・・・。つくづくファンキーな人である、志村けん。
 
 
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸, ’10. (音楽紹介業)

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

GOOD TIMESをフォローする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
訃報、悲報
スポンサーリンク
スポンサーリンク
GOOD TIMESをフォローする
GOOD TIMES | グッドタイムズ

コメント

  1. Taro より:

    SECRET: 0
    PASS:
    あらら、まだ若いのにね。
    Soup for One、カセットを引っ張りだして今聞いてるよ。
    ああ、いい声だな。
    ああ、そして、いいベースだ。まぎれも無く、バナード。
    そして、トニーのスネア。。。みんなあっちに行っちゃったんだな。
    テディといえば、
    エディ・マーフィが物真似するの得意なんだよな。
    ああ、Dream Girl つながりか(笑)。

    Like

  2. jessica より:

    SECRET: 0
    PASS:
    こんにちわ!
    Teddy、大ケガ後も復帰して車椅子でステージに立つ事もあったのに、59歳は早すぎます…(悲)
    "Soup For One"、サントラ盤は持っていませんが、タイトル曲CHICの"Soup ~"は、大好きです☆CHICのライヴでもオランダやアルゼンチンでは演奏するみたいなんですよねー、うぅ、日本でも聴きたいっっ!!
    Hitomiさん、メンバーから4月あたりCHIC来日の情報ないですかー??
    ついでに"Thinking ~"や"Soup ~"をセットリストに入れてくれるよう、お願いしてくださいっっ♪♪

    去年は、Teddyと声のよく似ている(Lutherにも) Jaheimをよく聴いていました♪ Jaheimもコットンクラブやビルボードに来て欲しいシンガーの一人です☆ Like

  3. hit2japan より:

    SECRET: 0
    PASS:
    Taro
     カセットを引っ張り出したかね(笑)。正月にコピーした、十数枚からなる「シーク関連全集」の中に入ってたと思うよ、私家版(LP→CD−R)『スープ・フォー・ワン』。三曲目。
     僕等共通の友人で、車椅子を使っている「彼」が、事故後の彼のアルバムのジャケ写(肩から上のアップ)を見て「これは絶対に車椅子に載って写ってる。少し後ろにのけぞってるみたいになってるでしょ。私は乗ってる身だから解る」と話していたのを思い出した。
    人見 Like

  4. hit2japan より:

    SECRET: 0
    PASS:
    jessica さん
     「スープ・フォー・ワン」やシェイラ&B. ディヴォーション「スペイサー」、シスター・スレッジ「ロスト・イン・ミュージック」等は欧州・南米向けセット・リストには入っているのです。「アイ・ウォント・ユア・ラヴ」タイプの哀愁ディスコものが好まれているみたいで。
     日本人の演歌スピリットにも響いているんですけどね(笑)。リクエストはしているんですよ、僕も。ええ。申し訳有りませんが毎回力及ばずでして・・・。
     本文加筆部で、テディのフォロワーとしてコロネル・エイブラムズの名を挙げましたが、ジャヒームもそう言えばそうですね。気付きませんでした。嗚呼愚か也。
    人見 Like

  5. GAKU より:

    SECRET: 0
    PASS:
    )♪ジャンジャジャジャジャスチャジャッ「ア〜アッ!」という意味不明なシャウト

    あれは最高だったな~!
    東村山音頭や早口言葉に比べてかなりマイナーだし、やってる期間も短かったし、
    何より正式名称がよく分からないから、話題になることが少ない。
    後に「ファンキーばあさん」とかいう名称で紹介されてたこともあったけど、正式名称なのかは不明。
    手に志村顔のばあさんの人形を持ってやってましたよね。 Like

  6. hit2japan より:

    SECRET: 0
    PASS:
    GAKUちゃん
     あれは「プッシュしてはみたものの、一部で熱狂的にウケた」という種類のものだったんだろうね(笑)。
    人見 Like

タイトルとURLをコピーしました