「タウンニュース横須賀版」連載
Hit Me’s YOKOSUKAN Pop/Rock File
〜横須賀ゆかりの音楽や音楽家について、つらつらと〜
再録
(2007.1.1. 号初出分)
第一回
「横須賀(ヨコスカ)ストーリー」山口百恵 (1976年)
本文:
「山口百恵ってカメラを見ねぇんだよ」—数年前の新年会で友人が指摘した。その時観ていた映像(確か紅白の名場面集)に目をやると、確かにいわゆる「カメラ目線」ではなかった。スポットライトを、そしてその向こうを見ているのか、焦点は遠かった。
圧倒的なイントロ、サビから始まる歌。しかもいきなり「これっきり」。横須賀を感じさせるのは「急な坂道の上からは今も海が見えるだろうか」の辺り程度なのに「ここは横須賀」と納得させてしまう作曲と編曲、そしてそれを体現する歌手=山口百恵の説得力。
この曲が出る前までは、時代のマスコット・ガール=桜田淳子や、「唄」道を極めんとする森昌子の「花の○○トリオ」他二名と較べて、山口百恵の歌手としての方向・イメッジは散漫だった気がする(役者活動も順調で、しかもそれらの主題歌が多かったのも原因だろう)。そんな中、彼女のイメッジのひとつだった「背伸びしている少女」が成長して身につけ(てしまっ)た「大人びた徒労感」を呈示したのが阿木=宇崎コンビによる「横須賀ストーリー」だったのだと思う。それが功を奏し、以降、彼女は「歌手」という枠に収まらない存在にまでなっていく。それはいずれ回を改めて。
余談だが、プリンスが昨年出した『3121』に、イントロがとっても「横須賀ストーリー」な曲が入っていて笑える。初笑いのネタとして是非お試しあれ。
写真:「横須賀ストーリー」シングル盤
写真下キャプション:
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:萩田光雄
昭和51年6月21日シングル発売
七・八月オリコン第一位
彼女最大のヒット・シングル
横須賀に「ヨコスカ」と片仮名がふってあるのは一年前の「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」からの連続性か?
プロフィール:
音楽紹介業。67年生まれ。津久井小、北中、追高出身。洋楽依存症歴28年。
FMブルー湘南(横須賀 78.5MHz)、湘南ビーチFM(逗子葉山 78.9MHz)にて音楽番組を担当中
ひとこと:
「ファンクも好きな若造」を「ファンクが一番好きな Hit me 氏」に変えてくれたミスター・J.B. に心からの有難うを。
補遺
三年経ってから読み返すと、初回らしい固さ・真面目さ・カッコつけを感じる(笑)。
ミスター・J.B.:
ジェイムズ(ジェームス)・ブラウン James Brown の事。前年の2006年のクリスマスに没した。
既に入稿は済み、締め切りを過ぎた師走の二十六日か二十七日に(年末進行で元日の朝刊折込み分だ)、無理を言ってこの「ひとこと」を差し替えて貰った記憶が有る。最初から生意気な事をしでかしてしまったが、せずにはいられなかった。
その差し替え前の内容は・・・、確か第二回か第三回のものになっていると思う。
人見 ‘Hit Me!’ 欣幸 (音楽紹介業)
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