637 "YOKOSUKAN Pop/Rock File" 再録 (3) 2007.2.2.

タウンニュース横須賀版連載
Hit Me’s YOKOSUKAN Pop/Rock File
〜横須賀ゆかりの音楽や音楽家について、つらつらと〜

再録
(2007.2.2. 号初出分)

第三回
「Dobuita St. (Mr. Blues Guy)」Tensaw (1980年)



本文:
 中二の秋の事。ある先輩の下敷きに、怖そうな四人のバンドマンが写ったチラシが挟まれていた。「これ誰ですか?」「横須賀が生んだロック・バンドだよ。」彼はまるで自分がそのメンバーであるかの如く自慢げに答えた。先輩はいわゆるツッパリのひとりだった。口髭もあった(気がする)。体育館での有志のステージではスモコン(註)を演っていた。
 この曲名や先輩の言とは異なり、テンソウ(と読む)は「横浜が生んだロック・バンド」だ。歌詞にも「ドブ板に 『行ったら』さ 奴につたえて」とある。ドブ板ロック・シティには出演しているので、横須賀が「育てた」とは言えるだろう。
 洋楽色の強いバンドで、とりわけ英国のザ・フーを思わせる面が多い。そのせいか、我が国でのザ・フーの扱われ方同様、テンソウも「通受け」という域を出る事無く数年で解散してしまう。その後、(これ又ザ・フー同様!)何度か再結成をしており、一昨年暮れより又集まっている。ドラマー=グリコのウェブサイトで2007年も新しいテンソウをやる、と宣言されている事もあって「Tensaw’s Next」がとても気になる。
 あの先輩はもしかしたらベイシスト=ミチアキを意識して口髭を生やしていたのかも知れないな。TCR横浜銀蝿RSではないと信じたいのだけれど(笑)。
(註)Smoke on the Water / Deep Purple の事。この略し方って全国共通じゃないの?!

写真:「Dobuita St. (Mr. Blues Guy)」シングル盤
写真下キャプション:
作詞・作曲:田中聖一 編曲:Tensaw
1980年9月発売のデビュー曲
翌月の1st「Tensaw」には別テイクにて収録
アルバムは三枚発表。現在は3rd「It’s OK!」とライヴDVD二種が入手可能。

プロフィール:
音楽紹介業。67年生まれ。津久井小、北中、追高出身。洋楽依存症歴28年。
FMブルー湘南(横須賀78.5MHz)、湘南ビーチFM(逗子葉山78.9MHz)にて音楽番組を担当中

ひとこと:
遂に不惑。ジョン・レノンというより、きんどーさんやクマと並んだ事が感慨深い。

補遺

 彼等は2009年以降も断続的に活動を続けている! 数度見たが素晴らしいのひと言。未だバンドとして成長している。
 夏フェスにでも出て、彼等を知らないまま「日本のロック」を安穏と謳歌している若いファンとミュージシャン(そう! ミュージシャンに特に!)をギャフンと言わせてくれないかなぁ。

 「ギャフン」って昭和だなぁ(笑)。何なんだろう「ギャフン」って。

 洋楽ロック・ファンの間でも、以前よりザ・フー支持率は高くなったので(というよりも、ザ・フーを好きの人は、他のロック・ファンよりも、洋楽ファンをやめる率が低い(※)と思うので、結果として相対的にザ・フー知名度が高くなっている、と言うべきか?)、フジ・ロック・フェスやサマー・ソニックもアリですよね?大いに!!
 関係者の皆さん、どうか御検討を・・・。

 来日ミュージシャンもビックリすると思うけど。

田中聖一:
 テンソウの中心人物=セイボー。
 因みにメンバーは、
セイボー/田中聖一 (ヴォーカル、コーラス、キーボード、パカッション)
ミチアキ/鈴木享明 (ベイス、コーラス)
タケ/横内健亨(たけひろ) (ギター、ヴォーカル、コーラス)
グリコ/富岡義広 (ドラムズ、コーラス)

ライヴDVD二種:
 一枚目の『UNDER GROWN』終盤、「Thai-High (別名:退廃の煌き)」イントロでバンドの後ろに出現する巨大なバンド・ロゴ入りの黄色いバック・ドロップ。その幕に躍らされて飛び上がっている一人の客をカメラが一瞬捉えている。
 それは二十一歳の時の僕です(笑)。
 何故かDVDでは不鮮明。VHSかLDの方が見付け易い。

きんどーさんやクマ:
 七十年代半ば〜後半に一世を風靡した漫画「マカロニほうれん荘」の登場人物・金藤日陽と後藤熊男の事。「きんどーちゃん四十歳」とクマは同い歳(学友)という設定。

(※)「ザ・フーが好き『だった』」という方は、他の「○○、好きだったねぇ」よりも少ないと思うので。
 色々と聴いてきて最終的にザ・フーに辿り着く、ザ・フーに行き当たる、ザ・フーだけは追うというロック・ファンは多いのだと思う。音楽性、ルックス、数奇な運命、そして日本での一般的な知名度の「そこそこ」さ(「俺、ザ・フー聴いてるぜ」という優越感にひたれる高貴さを保っていられる程度の、知る人ぞ知る、そしてその「知る人」は一目置く存在)、とても良い位置に居ると思う。
 それがレコード会社は歯痒いのだろうけれど(笑)。

人見 ‘Hit Me!’ 欣幸 (音楽紹介業)

人見 欣幸

音楽紹介業(ラジオ、活字、ライヴハウス、インタネット等で音楽を紹介)
1967年神奈川生まれ・育ち・在住
1978年より洋楽中心生活者
1991 文筆デビュー
1995 ナイル・ロジャーズにファンレターを渡す(交流開始)
1997 レギュラーラジオ番組開始
2011 Nile Rodgers/CHIC応援組織 "Good Times" を内海初寧と結成、同年よりウェブ番組 "Good Times TV" 開始(13年まで)
2019 新メンバーを加え、六月より "Good Times Tube" としてウェブ番組を復活

■favorite musicians:
Nile Rodgers,Bernard Edwars&Tony Thompson
山下達郎,伊藤広規,青山純&難波弘之
竹中尚人,加部正義&ジョニー吉長

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コメント

  1. アライ マサシ より:

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    やっと見れました。ありがとうございます。(泣)
    tensawは好きすぎて一時期、本牧に住んでしまったこともあります。彼らの曲、ラジオで聞いたことないんでいつか、かけてください。あ。でも人見さんのは洋楽メインですよね。ま、でも一部のへたな洋楽より1000倍くらいカッコEっすよね。
    あと、water landってなつかしーですね。。
    白い、いいビニイル袋にLPいれてくれるんですよね。あのオーナーのフェイバリットはスーパートランプです。:)
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  2. hit2japan より:

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    アライ マサシさん
     ははは! 本牧に住んじゃいましたか! 筋金入りですね。世界的にみてあんなにロックなバンドは珍しいですよね。ザ・フー度は、そしてその物真似に終わらないオリジナル度は世界一なんじゃないでしょうか。彼等は、具体的にはグリコがあの超絶ドラミングを持続出来る体力を保っている限り続くのではないでしょうか。
     洋楽メインは湘南ビーチFMの局コンセプトです。まぁ僕個人の趣向とも重なりますが。FMブルー湘南(横須賀)では結構邦楽もかけています。ジュリー、JL&C/PC、山下達郎が昔から変わらぬ三本柱でして、最近はアンチェイン(UNCHAIN)、サンボマスターの動向もなるべくフォロウしようとしています。
     テンソウも時折かけていますよ。何と無くトラウマをかけたくなってアルバムを丸ごとかけたら、同時期にテンソウが復活したのでびっくりしました。
     ウォーターランドには高校生の時に特に御世話になりました。プログレが好きなんですよね、店長。個人的にPFMやバンコ、ピーター・ゲイブリエル(ガブリエル)の海賊盤を御借りした事もありました。
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